【特別企画】リスニング用途での実力を検証

オーディオテクニカ「ATH-M50x」を聴く ー 製作者が音楽に込めた意図を体感できるモニターヘッドホン

岩井 喬

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2017年10月23日
オーディオテクニカ「ATH-M50x」(ファイルウェブ特設ページ)は、むしろ海外の音楽シーンで広く使われているプロ向けモニターヘッドホンだ。特にアメリカのスタジオでは高いシェアを誇り、リファレンスとして多くのエンジニア/ミュージシャンに愛用されている。今回このATH-M50xを、スタジオエンジニア出身であり業務用機とコンシューマー機の両方に造詣が深い岩井氏がレビュー。ATH-M50xをリスニング用ヘッドホンとして用いた際の魅力を分析した。

「ATH-M50x」¥OPEN(予想実売価格18,000円前後)

モニターヘッドホンとは、正確な音を知るためのプロのリファレンス

ヘッドホンを普段愛用する者にとって、また複数のモデルを所有しているオーディオファンにとって、“モニターヘッドホン”というのは正確な音再現性を知りうるリファレンスとして必ずおさえておきたいアイテムと考えている。モニターヘッドホンの多くはそもそも音楽制作現場で用いられることが多く、そうしたプロのツールとしての憧れを持つ方も少なくないだろう。

しかしモニターヘッドホンはある種の“粗探し”ともいえる、モニタースピーカーでも気づかないような細かいポイントでの検聴用途でも使うことも多い。だから一般的なリスニング用ヘッドホンに比べて、カッチリとした、音のエッジを際立たせて明晰なサウンドとしたものが中心となっている。

本記事では「ATH-M50x」をリスニング用途で用いた場合、どのようなサウンドを楽しめるのかをチェックした

ゆえに長時間聴いていると疲れるといった声もよく聞くが、モニター用途だからこそ長時間ヘッドホンを装着しながら集中して作業することも多い。疲れにくい音作りと、基本に忠実かつモニターとして色付けのないサウンドを両立させたモニターヘッドホンも存在する。

モニターヘッドホンとしての性能はもちろんのこと、長時間聴いていても疲れにくく、普段づかいの音楽鑑賞用としても十分活用できる製品の一つとして挙げられるのが、オーディオテクニカのプロ/業務・楽器系向けモデル「ATH-M50x」だ。

ロングセラーとなった従来機を全面的にブラッシュアップ

ATH-M50xはおよそ9年前に発売されロングセラーとなっていた「ATH-M50」のリニューアルモデル。ケーブル着脱機構やサウンド面など、全面的にブラッシュアップを図ったもので、現在の市場動向に最適化された設計を取り入れた、新世代モニターヘッドホンといえる。

ATH-M50xの側面部。アジャスターを伸ばしたところ

ハウジングは90度回転するので、片耳モニタリングやフラットに畳むことも可能だ

ケーブル着脱部のコネクターは2.5mmステレオプラグと樹脂モールドによるバヨネットロック方式を採用。3mのストレートケーブルおよび1.2mカールケーブル(伸長時3m)、さらにポータブル環境に最適な1.2mストレートケーブルも同梱される。

ケーブルは着脱式で、ヘッドホン側とケーブル側それぞれに記された白いラインによって、正しく接続できているかどうかを確認することができる

心臓部となるドライバーユニットは45mm CCAWボイスコイル採用ドライバーを搭載。ATH-M50に比べて低域解像度や空間再現性が高まっており、広帯域にわたってフラットな特性を持つ。スタジオでの録音・ミキシングに加え、DJやトラックメイカーなど、単体の音の状態まで鋭く聴き込むような現場での運用を想定しているという。

イヤーパッド、ヘッドパッドの素材も刷新して、耐久性をさらに高めている

写真のように完全に折りたたむことも可能だ

さらにヘッドバンドやイヤーパッドについても、耐久性が高く肌触りの良い素材に変更。イヤーカップは遮音性やフィット性の高い楕円形状で、片耳モニタリングしやすい90度反転機構も採用。加えて折り畳み機構も備え、持ち運びしやすい。

高低域にわたってレンジが広く、誇張なく音の細部までを引き出す

このATH-M50xのサウンド傾向だが、本来のモニタリング性能を見るというより、一般的なリスニング用という点を意識し、ソニー「NW-WM1Z」を再生に用いてみた。前モデルより中低域の厚みが増したことで、全体のバランスが向上。スペック上の数字は控えめだが、高域・低域ともにレンジ広いスッキリとしたサウンドが特徴だ。

リスニング音量でも優れた再現性を発揮。

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