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11ch独立パワーアンプによる再生能力も検証

【レビュー】デノンの準旗艦AVアンプ「AVR-X6400H」。“Auro-3D”サウンドを徹底チェック

2017/10/23 鴻池賢三
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本作においてホールの響きが自然に感じられるのは、「レイヤー2/Height」の効用が大きいようだ。また、「ラデツキー行進曲」で、2階席の観客が奏でる手拍子が印象的。高さ方向を意識したイマーシブサラウンドともピッタリで、何度も聴きたくなるほど楽しく心躍らされた。こうした高品位な音楽ソフトも“鑑賞”と呼べるレベルで楽しめるのは確かなクオリティーが備わっていてこそ。ホームシアターの楽しみがまた1つ増えたようだ。

高さ方向のサウンドもリアルに表現する「Auro-3D」

■ハイレゾ音源のAtmos/DTS:X/Auro-3Dへのアップミックス効果をチェック

本機ではもちろん、Dolby AtmosやDTS:Xのデコードも可能。今回は、2chのハイレゾ音楽データを用い、それぞれのアップミックス効果を確認した。イマーシブサラウンド対応のコンテンツが充分に増えるまで、手持ちのコンテンツを活用するのは自然な流れだろう。

Dolby Atmosでアップミックスすると(Dolby Surround)、ボーカルがセンタースピーカーに重点的に振り分けられ、音場が天井方向に少し広がる印象。ステレオ再生のイメージを残し、センタースピーカーを積極的に利用してボーカルの定位を高める一方、過度な空間の拡張は行わない点で、往年のAVファンにも馴染みが良いだろう。

USBメモリー内のハイレゾ音源で音質をチェック

Auro-3D/DTX:X/Dolby Atmosを切り替えながら入念にチェックした

DTS:Xのアップミックス(Neural:X)では、ハイトスピーカーを中心に残響成分が多めに加わり音場感がリッチになる。2chステレオの世界から飛躍する感はあるが、ハイレゾ時代で知った“空気感”が増したかのように感じられ、新しい楽しみ方として面白い。

Auro-3Dのアップミックス機能である「Auro Matic」は音場の自然な広がりが持ち味。2ch再生からAuro Maticへ移行したときは、音場が少し広がったようにしか感じないのだが、この状態からAuro Maticをオフにすると、愕然とするほど音場が萎んで寂しくなる。こうした感覚から、Auro Maticが、奇を衒わず、人間の聴覚に即したナチュラルさを重視していることが窺い知れる。



Auro-3Dは高音質で自然な音場再現を目指した新しいイマーシブ・サラウンドフォーマット。それだけに、ホームシアターにおいては、AVアンプのクオリティーが体感の差となって現れやすいと言える。

本機においては、モジュール化された同一のパワーアンプ基板11枚から成る「11chパワーアンプ モノアンプコンストラクション」に注目したい。同一パワーのみならず音色もチャンネル間で高度にマッチングされることで、全チャンネル間でステレオと同様の定位効果が得られ、空間表現の歪みも少なくできるからだ。

ロス無くソースに込められた情報を引き出すデノンの思想や、「AL32 Processing」といったアナログ波形復元も、多チャンネル化でその価値は益々高まっているように感じる。

繰り返しになるが、デノンの思想と、本機の高音質に長けた基礎体力が、全てのイマーシブサウンドを最高水準たらしめている。AVファン、ホームシアターファンに体感して欲しい、新しいサラウンドサウンド時代の幕開けだ。

(鴻池賢三)

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