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最新ODNF回路を搭載

【レビュー】ラックスマン「L-505uXII」ー クラスを超えた高S/N、高い完成度を誇るプリメイン

公開日 2017/10/20 13:54 石原 俊
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聴感上のS/Nに優れ、一聴してサウンドの完成度の高さを感じる

さて、そのサウンドである。一聴して「完成度の高い音であるな」と思った。ブラインドテストだったら超高級機と勘違いしそうなほど聴感上のS/Nが良い。LECUAとODNFに加えて配線パターンにも工夫が凝らされているからか、周波数・ダイナミクスともにレンジが広く、音場が広大かつ清潔だ。しかも低音がよく出る。予想通りスピーカーのドライブ能力は上々だ。音元出版の試聴室に常駐するレファレンススピーカーのモニターオーディオ「PL-200」のダブルウーファーはなかなかの難物なのだが、本機はその難物を軽々とグリップしてくれる。低音はよく出るが、膨満することはない。

音色的にはA級動作機のようなウォームさよりも、AB級機的なクールさが支配的だ。したがってA級動作機のような人情味とか艶っぽさのような要素ではなく、むしろ音楽をありのままに描くような傾向にある。したがって基本的には現代機らしく非演出的な聴き味なのだが、単に音楽の表面をさらりと撫でるのではなく、時として音楽の内面をえぐり出すような振る舞いさえする。このような音楽的挙動を示すエントリークラスのプリメインアンプを、私は寡聞にして知らない。

背面部

ジャズは音場表現とエネルギー感が高度なレベルで両立している。ホールトーンや奥行き感がきちんとあるのだが、「音場ジャズ」的なひ弱さはなく、ミュージシャンのスピリットが強烈に感じられる。ヴォーカルは最も得意なジャンルであろう。真空管アンプやA級アンプで感じられるラックスマン的な色気は薄いかもしれないが、微細なダイナミクス変化への対応がすばらしく、ワンフレーズから無限ともいえるほど豊かなニュアンスを感じることができる。

「C-900u」と同等のディスクリート・バッファー回路を採用。さらなる音質向上を図っている

クラシックは情報量の多さもさることながら、音の切れ味の鋭さに驚かされた。スケール感もすばらしく、大規模なオーケストラ曲を聴いても十分に満足することができる。さらには、このクラスにしてはディテールの情報量が極めて多く、主旋律の裏にある対旋律や裏打ちのリズムなどに耳を傾けるのが快感だ。

最後にアナログレコードを聴いた。以前にも軽く触れたが、現代のプリメインアンプとしては珍しく、本機にはフォノイコライザーが搭載されている。これは非常に真面目に作られていて、MMカートリッジだけではなくMCカートリッジにも対応している。アナログのビギナーにとって、これは誠にありがたい。というのも、MMのみの対応だと昇圧トランスが必要になるので、ビギナーにとってMCのハードルが高くなってしまうからだ。しかも定数がなかなかよろしい。MMは2.5mV/47KΩ、MCは0.3mV/100Ω。この設定は実際にレコード再生をする際に非常に使いやすい。組み合わせるプレーヤーとカートリッジにもよるが、その音質はなかなかのものだ。

MM/MC対応のフォノイコライザーを搭載する



「L-505uXII」は聴感上のSN比が高く、ニュートラルで飽きのこない音楽表現が得られる。そのサウンドの完成度は高い。長期にわたって安心して楽しめる“超お買い得”なプリメインアンプである。

(石原 俊)

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