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専用アプリの完成度&進化にも注目

パイオニア「N-70AE/N-50AE」レビュー。音質&使い勝手がさらに進化したネットワークプレーヤー

公開日 2017/10/10 10:31 土方久明
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こだわりを反映した物量投入、それを裏切らない音質

さっそく音質を確認したい。まずはトップエンドのN-70AEだが、今回のモデルチェンジにあたり「エンジニアのこだわりを徹底的に突き詰めた究極の高音質設計」を謳うだけあって、投入されているパーツの充実度が光る。

DAC周りは、ESS Technology製DACチップ 「ES9016S」を左右独立して1基ずつ搭載、各チャンネルそれぞれを8chパラレル駆動する。DAC変換後のアナログステージは、L/R独立させたフルバランス回路で構成され、最終的にXLRバランス出力までフルバランス伝送される。ヘッドホンアンプにもフルバランスで音声信号の入力を行うので、ヘッドホン出力のクオリティも高めている。

左がN-70AE、右がN-50AEの内部構造。セパレート構造は同一

シャーシは「リジッドアンダーベース」と呼ばれる強固な二重構造で、デジタル電源、デジタル回路、アナログ電源/回路の3つにセパレートされている。

N-70AEを聴く ー リニアリティが高くサウンドステージを豊かに描く

アイ・オー・データのNAS「RockDisk for Audio」と組み合わせて、まずはネットワーク再生から試す。チョ・ソンジンのピアノ協奏曲『ショパン:ピアノ協奏曲第1番、バラード集』(96kHz/24bit FLAC)を再生すると、最高域から最低域までのリニアリティが高い。オーケストラを構築する各楽器が明瞭に分離し、ソリストを務めるピアノの音は空間に軽やかに浮き上がる。

アプリで操作中のN-70AE。アプリに関しては後述する

続いてUSB-A端子にUSB外付けハードディスクを接続して、天平&真央樹『kaleidoscope』(96kHz/24bit)を再生。ピアノとドラムのデュオによるスピード感のある演奏が魅力の本アルバムだが、N-70AEで再生するとピアノはタッチの立ち上がりが俊敏で、バスドラムは低域の伸びと量感を両立。予想を超える再生音だが、ここはアナログ専用電源トランス、デジタル専用電源トランスを独立して搭載する電源部が効いている印象だ。余談だが、本機はフロントとリアにそれぞれUSB端子を持っており、2つを聴き比べてみたのだが、リア端子にメディアを接続した方が、若干S/Nが高く感じた。

MacBook Proと再生ソフトウェア「Audirvana Plus 3」を使用して、USB-DAC再生もも確認してみた。音質の違いを確かめるため、ネットワーク再生で聴いたチョ・ソンジンを改めて再生。ネットワーク再生でも感じた情報量の多さと分解能の高さをUSB-DAC再生でも改めて実感する。特に良いなと思ったのが、サウンドステージの高さ方向の再現が秀逸なことだ。ネットワーク再生との音質差が非常に少なく、その点も良い印象を持った。N-70AEは、どのソースを聴いても音源の持つ音楽的な意図を明快に表現しており、従来モデルからの大きな音質向上を実感した。

比較試聴中の筆者

また本機は、DACチップの機能による「SHARP」「SLOW」「SHORT」3種類のデジタルフィルターや、本体内で「Hi-bit32 Audio Processing」「Up Sampling」「Auto Sound Retriver」などにより、音質や音調を可変したり、MP3などの圧縮音源を高音質で再生する機能も備えている。

例えば「Hi-bit32 Audio Processing」をONにすると、サウンドステージが左右に広がり、各楽器の明瞭度が増す。「Up Sampling」は滑らかな音調になり、聴感上のSN比が上がる。今までであれば機材を変えたりケーブルを変えて楽しむような変化を、本体だけで楽しむことができるのは嬉しい。

次ページ上位機種の流れを汲むN-50AEと、大幅な機能向上を遂げた操作アプリ

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