MCカートリッジ出力のバランス伝送・増幅回路を完全に実現

【レビュー】エソテリック「E-02」 ー レコード再生の最高峰にアプローチできるフォノアンプ

藤岡 誠

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2017年08月09日

ロングセラー「E-03」の後継機。バランス伝送・増幅回路を完全に実現

エソテリックのフォノアンプといえば、消費税が5%の頃の2009年に¥400,000(税別)で発売された「E-03」が8年間のロングセラーとして大きな存在感を持っていた。増幅素子は十二分に吟味、厳選されたディスクリートのトランジスターが採用され、聴けばリアル&ストレートなサウンドでパワーアンプの「A-03」と素晴らしいコンビネーションを保ってきたものだ。

しかし、この7月にデビューした本機E-02はその存在価値を大きく変え、ズバリ“世代交代"をすることになった。いうまでもなく、MCカートリッジ出力のバランス伝送・増幅回路を完全に実現しているからだ。

「E-02」

本体背面部

フォノ入力端子はXLR(2番HOT)、RCA×2の合計3系統を装備。XLR入力端子は、MC型専用バランス伝送用XLRフォノケーブルで接続する。RCA端子はMC/MM型の両方に対応しており、従来通りのアンバランスRCAフォノケーブルを接続することになる。この3系統(XLR1系統、RCA2系統)それぞれに対して、負荷インピーダンスをはじめとする各種設定を個別に記憶させることができ、入力セレクターの切り替えで瞬時に設定を呼び出すことが可能である。ちなみに入力インピーダンス設定は、MCが10、50、100、200、300、500、1k、10kΩの8種類、およびMMの47kΩから選択することができる。

出力端子はXLRとRCAを装備している。なお、両端子の直近に出力切換えのためのスライドスイッチがあるが、これはXLRとRCAの切換の他、同社のGrandioso F1などのES-LINK Analog端子(ESL-A)のある機器と本機をXLRバランスケーブルで電流伝送接続するためにある。

入力から出力までフルバランス伝送の内部回路

前面パネルは例によって左右対称レイアウトだ。一番左のプッシュボタンは電源スイッチ。直近のノブは最大径φ42mmほどの入力切換え用でRCA1/RCA2/XLRのいずれかを選択する。選択した位置にLEDのインジケーターが点灯する。

フルバランス/デュアルモノ設計の増幅回路

E-02の電源部。L/R独立の大規模な電源を搭載する

中央部の3個のプッシュボタンは左から簡易消磁ボタン。この消磁機能は、帯磁している鉄芯入りのMC型や場合によっては使用する昇圧トランスを消磁する。実際の使用方法は付属の取扱説明書に従えばいいが、難しいことは1つもないから安心されたい。なお、このボタンは長押し(3秒)するとインジケーターの輝度を2段階で変えられる。中央のボタンはサブソニックフィルターで、その遮断カーブは17Hz(−6dB/oct)である。右端はモノラルボタン。そしてパネル右の入力切り換えと同じ外径のノブはインピーダンス切り換え用である。

内部の回路構成は、入力端子からMC型用ヘッドアンプ→RIAA回路→出力段のバッファーアンプまでのすべてが完全フルバランス回路である。増幅素子には高スルーレート・オペアンプが採用されているが、エソテリックのオペアンプの使いこなしには定評があるから安心だ。逆にいえば、無理して昔から定評のある希少なトランジスターを採用すると修理が不可能になる恐れを否定できない。個人的見解だが、エソテリックはこの点を以前から考慮してのオペアンプの採用なのだろう。

圧倒的なSN比とダイナミックレンジ。空間再現性にも優れる

本機の試聴は自宅で行った。試聴にあたっての主要機材は、MC型カートリッジはオルトフォン「MC Windfeld」、バランス伝送用のXLRフォノケーブルはサエク「SCX-5000」をリファレンスとして使用。このほか比較用に数種類の同種のフォノケーブルを用意して試聴した。

試聴は藤岡誠氏の自宅試聴室で実施。スピーカーシステムは「TAD Reference One」で試聴。

これまで様々な組み合わせでMCカートリッジ出力のバランス伝送・増幅方式を聴いてきているが、E-02は信頼性の点で抜群だ。SN比はもちろん、ダイナミックレンジ、空間再現性と音像定位において、一般的なMC型カートリッジの聴こえを遥かに凌駕する。

さらにXLRフォノケーブルを幾つか試聴したが、各ケーブルの音質差も明確に表現される。つまりは、E-02の忠実度の高さといっていい。

高価だが、E-02はMC型カートリッジの本質にアプローチしたい人たちには文句なしの逸品といえそうである。

(藤岡 誠)

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