オーディオワンショット<第12回>

藤岡誠が選ぶ、’16年上半期の注目ハイエンド・オーディオコンポーネント 4機種

藤岡 誠

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2016年07月07日
はじめに

今回の「オーディオワンショット」は、今年の上半期で私が試聴・チェックした高級コンポーネンツの中から、格別に注目した4機種を紹介する。何れも、“実用のオーディオ”の範疇に属する製品ではなく“趣味のオーディオ”の観点から捉えるべき製品で、いわばオーディオの王道を歩む人たちへ向けた製品である。当然、ポケットマネーで“ポン”と購入できる製品は1機種もないが、各メーカーが持てる技術の粋を集約して完成させた代物ばかりだ。是非とも注目されたい! なお、各機器については紙数の関係で極めてシンプルな紹介とする。興味のある方や、具体、詳細については各社のウェブサイトやカタログ等を参照してほしい。それでは以下、私が注目する今年上半期の高級コンポーネンツ4機種である。

オーディオテクニカ「AT-ART1000」

これはMC型カートリッジだが、オーディオテクニカにとって初めての「ダイレクトパワー方式」と称する発電構造が最大の特徴である。通常のカートリッジは、カンチレバーの根元に発電構造が置かれている。ダイレクトパワー方式の本機は、カンチレバーの先端に位置するスタイラスチップの真上に、左右独立した空芯の発電コイルがあり、当然、磁気回路もそれに対応して配置された構造を持ったMC型である。従って、針先でピックアップされた振動はカンチレバーを介在せずに発電コイルを直接可動するわけで、振動伝達の経路が最短かつ単純化され音質・音調もそれだけリアル&ストレートになる。

オーディオテクニカ「AT-ART1000」

過去にこのように単純化された振動伝達構造を持ったMC型は存在したが、本機はオーディオのベテランの方々のMCカートリッジの追体験として最適な最新型としてまさに貴重な逸品である。初めて試聴したのは少し前だったが、今でも極めてハイスピードサウンドの印象が私の聴感覚に残されている。オーディオテクニカはよくやった。機会を見つけて「バランス伝送・増幅(昇圧)」を試みようと考えている。価格はオープンだが、市場想定価格は600,000円前後になる模様。

アキュフェーズ「C-2850」

アキュフェーズの最高級プリアンプは「C-3800」(¥1,700,000/税抜)で、オーディオファイル垂涎の的になっている。本機「C-2850」(¥1,280,000/税抜)は、2011年から発売された「C-2820」(¥1,200,000/税抜)の後継型で、価格が8万円アップして新登場だ。

アキュフェーズ「C-2850」

旧型からの進化を幾つか列記すると、(1)音量レベル表示が格段に見易い。(2)音量調整用可変抵抗器に実装されている駆動モーターの振動が筺体に伝わらない。(3)シーリングドア内のつまみが高級化(アルミの削り出し)され若干大きくなって操作性が向上。(4)左右ch独立トロイドコア型電源トランスと10.000μFのブロックコンデンサーは何れも新設計。(5)SN比の向上。(6)基板における巧みな熱分散で信頼性がアップ。(7)新設計のヘッドフォンアンプ。(8)専用フォノEQユニット使用時のメモリー機能の追加など。

なお、MC/MM対応の新型フォノEQユニット「AD-2850」(¥220,000/税抜)も発売済だ。これは左右chが完全独立基板で構成され、従来からの「AD-2820」の発展型だが価格は据え置かれているのが嬉しい。

これまで最高級型C-3800の存在が大き過ぎて、旧C-2820が大きく浮上することはなかったと思うが、本機は透明度や分解能そしてSN比などが一気に向上。その結果、躊躇することなく対等にC-3800と対峙するプレゼンスを持つに至っている。例によって、ケースを外して内部を見ると完全にデュアルモノーラルのレイアウトがまったく素晴らしい。

藤岡誠が選ぶ、注目の「プリメインアンプ」「スピーカーシステム」

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