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【製品批評】オンキヨー伝説の“セプター”の名を冠したスピーカー「SC-3」

石原 俊
2017年06月29日
製品批評

SC-3


スピーカーシステム
ONKYO
SC-3
¥300,000/1台(税抜)


オンキヨーが、「セプター」の名を冠したスピーカーを15年ぶりに発表した。同社が「セプター」という名称を用いるようになったのは1960年代からで、当初はホーン型の高級ドライバーユニットにその名が冠されていた。

今回発表されたSC-3は、2ウェイ・2ドライバーユニットのブックシェルフ型機である。エンクロージャーは現代の標準よりもやや大ぶりで、十分な低音が期待できる。キャビネットは一見ボクシ−だがサイドバッフルが曲面仕上げで、音の回折と定在波の発生が抑制されている。またキャビネットの内側に施された「彫り」も定在波の抑制に一役買っている。

ドライバ−ユニットは自社製の新開発品だ。20cmウーファーの振動板はバイオマス素材セルロースナノファイバーを配合したもので、オンキヨー伝統のノンプレス製法で作られる。この振動板は軽量・高剛性で内部損失が多い。さらに表面に奈良・古梅園の紅花墨が塗布したことで、振動の伝播速度が高くなるとともに、弾性・内部損失・SN比が向上するという。アルミダイキャスト製のフレ−ムは形状を最適化することで高次高調波による不要共振の発生を防いでいる。

優れた定位感を再現できるスーパー楕円形ホーントゥイーター

最先端のバイオマス素材を採用したノンプレスONFウーファー

トゥイーターはオンキヨー伝統のコンプレッションドライバー&ホーンだ。2.5cm口径のダイヤフラムはマグネシウム製で、オンキヨー初のリング型である。ホーンは特殊な楕円形状を採用。また、クロスオーバー・ネットワークにドイツ、ムンドルフ社製のコンデンサ−を使用する。

SC-3が動作した瞬間、薄口でありながらも滋味豊かな高級関西料理のような味わいが聴覚にどっと流れ込んできた。時代も異なればエンジニアも全くの別人であるはずなのに、記憶の中にあるGS-1のサウンドのDNAが認識できるのだ。ホ−ン型機のクセのようなものはまったく感じられない。そのサウンドは上品で優しく、凛とした風格が備わっている。

優しいと言っても、ヤワな音では断じてない。低音はプリッとした質感が支配的だが、場合によってはゴリッとした質感も出すことができる。またホーン型らしく音の浸透力が強く、演奏者の想いのようなものが色濃く伝わってくる。

アルカンターラを使った背部に細部へのこだわりが見て取れる

ジャズでは本機がホーン型スピーカーであることを改めて認識させられた。とにかく音の飛びが良いのだ。ヴォーカルは清楚な表現を予想していたら、意外なほどハスキーでセクシーだった。これもこのスピーカーの魅力であろう。

クラシックはDSD 2.8MHzで『マーラー:交響曲第九番』を聴いた。意表を突くようなマーラーの複雑なオーケストレーションを細大漏らさず描くとともに、ともすると意味不明になりがちな音楽語法を噛んで含めるように、しかも楽しく伝えてくれるのだ。おそらくは音場情報が多いことから、この聴き味が得られたのだろう。

(石原 俊)

Specifications
●形式:2ウェイ・バスレフ型 ●インピーダンス:4Ω ●出力音圧レベル:87dB/2.83V/m ●ユニット:ホーン型トゥイーター(2.5cmリング型マグネシウムコンプレッションドライバー)、20cmコーン型ウーファー(ノンプレスONF) ●再生周波数帯域:28Hz〜50kHz ●クロスオーバー周波数:3kHz ●外形寸法:300W×484H×440Dmm ●質量:24.1kg(1台) ●取り扱い:オンキョー&パイオニアマーケティングジャパン(株)


※本記事は「季刊オーディオアクセサリー」163号所収記事の一部を抜粋したものです。くわしいレビューは雑誌でご覧頂けます。購入はこちらから

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