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スマホ史上最高の高画質

【測定】AVファンも注目のソニー「Xperia XZ Premium」。4K/HDR対応ディスプレイはもはや“マスモニ”レベル

公開日 2017/06/22 10:00 鴻池賢三
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目視評価

それでは、上記の測定結果が実際の映像ではどのように見えるかを確認しよう。

「プロフェッショナルモード」+ホワイトバランス調整(D65)
基準に近く、色が自然でリファレンスと言える映像。測定結果と合致する。


「プロフェッショナルモード」(ホワイトバランスは出荷設定)
色温度が7200K程度とD65よりも高いため、赤味が抜けてサッパリした印象。青白い蛍光灯や日光の影響を受ける明るい環境では、人間の視覚は色順応を受けて映像は相対的に黄味を帯びて見えるので、スマホの出荷設定としては適正と言える。


「スタンダードモード」
測定結果に符合して、リファレンスに比べると緑とピンク色がやや鮮やかに見える。周辺が照明などで明るい環境では、相対的に映像の色は薄まってみえるケースもあり、映像モードの1つとしてこれくらいの味付けがあっても良いだろう。


「ダイナミックモード」
こちらも測定結果と合致。かなり色が派手に見える。モニター的な用途には不向きで、写真を見たり加工などを行う場合は、基準を見誤る可能性があるので要注意。ただし、大きな破綻はなくソニーの良心が感じられる。ヴィヴィッドな色を楽しみたいユーザーが承知の上で選択する分には問題ないだろう。


参考までに「X-Reality for mobile」をONにした時の映像も示す。プロフェッショナルモードでホワイトバランスは出荷設定だ。前髪と三つ編みの端に注目すると、シュート(白い輪郭)が乗って白髪交じりに見えてしまう。低解像度の映像をクッキリさせるのには役立つが、HD解像度の映像には少し効果が強すぎるように思う。もちろんモニターライクに使う際はオフにしておこう。



【使用している映像素材について】
フリー写真素材を用いて作成した画質テスト用映像[1080p](YouTubeより)を用いてチェック。


総合評価/判定

XperiaXZに比べると、色味の調整とX-Reality for mobileの設定が切り離され、ユーザーが自在に設定できるようになっている。プロフェッショナルモードでホワイトバランスをきちんと調整すると、Color CheckerではMax deltaE値が2.66、Ave deltaE値が1.42と驚異的な好成績で、ソニー史上最高ならぬ、スマホ史上最高の「制作者の意図に忠実=高画質」と言っても過言ではないだろう。HDTV制作映像の視聴はもちろん、撮影した写真の色調整などクリエイターのチェック用ディスプレイとしてもお薦めできる。

4K HDR

せっかくなので、目視ではあるが4K/HDR映像を確認した。Amazonビデオの4K/HDR作品が視聴可能で、Amazonビデオアプリを開いてトップ画面を表示するとHDR作品が一覧できる。

Amazonビデオのトップ画面。「HDR TV番組」の文字が誇らしい。現時点でリストされるのはAmazonオリジナル制作作品が8タイトル

Amazonオリジナルのドラマ「弁護士ビリー・マクブライド」を視聴。本作品はHDRを相当意識したアングルで撮影されていて、14:10〜のシーンをiPhone 7の画面で通常HD版(SDR)を表示しながら比較すると、明らかな違いが見て取れる。

HDR対応作品「弁護士ビリー・マクブライド」の再生画面。(スクリーンキャプチャーで映像がブラックアウトしている)再生中に情報表示すると「4K UltraHD」の文字で状態が確認できる

室内から窓越しに見える風景は、より明るく表示しても色もディテールもしっかりと残る。直射日光が照りつける真っ白なソファも白飛びしない。また夜景シーンでもアドバンテージがあり、ネオンや信号機の色が飽和して白くならず色濃く輝く。肉眼で実際に風景を見るようなリアルさは格別だ。

使いこなしとしては、平均輝度が比較的高いシーンは200cd/m2以上と少し明るめに調整するとHDRの良さが感じられる。一方、バックライトを明るくし過ぎると平均輝度の低いシーンで黒浮きが目立ち、コントラスト感が大幅に低下する。総じて暗い部屋で画面を低輝度に調整するよりは、一般的な照明下で明るめの設定で見る方がコントラスト感は高く感じられ、HDRのアドバンテージを享受できるだろう。

SDR版とHDR版はマスタリングの異なる別ファイルであろうことから、単純な比較はできないが、本機単体で見てもSDRとは次元の違った映像美を堪能できる。

本記事の主旨とは異なるが、スマホの小さな画面で4K解像度が有効かどうかも考えてみた。当初は不要と思っていたが、実際に目にしてしまうと画の重みが違う。本機の映像をしばらく眺めた後でiPhone 7に戻ると、今まで高画質に思えていたものがなぜか薄く軽く思え、画素のツブツブまで気になってくる。視覚が鍛えられて肥えるのだ。

Android端末では動画映像でフレームが引っ掛かるような動きが目に付くことがあり、そのあたりはiPhoneの方が上と思ってしまうが、本機がAVファンにとって注目すべきモデルであることに疑いの余地はない。



今回も映像マニア的な切り口で分析したが、正確な色味は大切だ。例えば、ネットショッピングで到着した服の色がスマホ画面と違う、撮影した写真を他の端末で見るとイメージが異なる、あるいは、スマホ上で色味も含めて加工する際、ディスプレイが正確な色で表示できていないと判断を見誤ることになる。ネット&スマホ時代の今こそ正確な色再現にこだわるべきで、その点で本機はベストな選択として大いにおすすめできる。

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