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<連載>藤岡誠のオーディオワンショット

藤岡誠が語るオーディオ業界の今と昔。ブランド、そしてメディアの変遷を考える

公開日 2017/06/20 13:56 藤岡誠
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■多くのファンを持つ有名企業の相次ぐ買収

ここ数ヶ月でびっくりしたことが幾つかある。ひとつは、今年3月に買収が発表されたD&Mホールディングス(デノン、マランツ、ボストンアコースティクス他の持ち株会社)に関する話題だ。

D&Mについは、これまでリップルウッドやベインキャピタルなどのアメリカの投資ファンド運営会社の傘下でありながらも従来通りの活発な運営をしてきた。その一方で、毎年のように年末になると買収に関わる話題、噂が出ては消え消えては登場してきた過去があるが、今回は噂ではなかった。

D&Mを買収したのは、アメリカのSound United(サウンドユナイテッド)社。日本での知名度は低いがアメリカ本土ではそれなりに有名なスピーカーメーカーのPolk Audio(ポークオーディオ)などを傘下に持つ会社である。私が知る限りSound UnitedがこれまでD&Mの買収に関わったことはなかったし、その規模も小さいから、これまたびっくりというわけだ。買収はすでに完了しており、両社は合弁会社として各ブランドのビジネスを継続・展開していくとのことだ(関連ニュース)。

個人的にはいささか寂しい感じはあるが、業務内容は従来からの延長線上に位置するだろうから、恐らくオーディオ市場で大きく変化を見せることはないだろう。実際にD&Mに確認をとったが、「現時点で社内は何の変化もない!」ということであった。

もうひとつは、JBL、マークレビンソン、AKG他、といったブランドを傘下に持つ業界ではあまりにも有名なハーマンインターナショナル(US本社)が、韓国のサムスン電子によって買収されたことだ(関連ニュース)。昨年2016年11月に報道があったが、今年の3月に買収作業は完了しハーマンインターナショナルはサムスン電子に吸収合併されている。

ご存知の方も多いと思うが、ハーマンインターナショナル社は、シドニー・ハーマンとバーナード・カードンの二人が1953年(昭和28年)に設立したハーマン・カードン社が源流である。その後、前述のメーカー/ブランドの他、インフィニティ、SME、REVELなど幾つものメーカー/ブランドを次々に傘下に収め今日に至っている。それだけに私たちにとっては馴染み深く身近な存在である。現在は、将来を見据えて車載機器分野に力点を置いているとのことだが、今後私たちのピュアオーディオ分野をどのように展開していくかを見て行きたい。

■オーディオ業界が様変わりする中、歴史と伝統のブランドが復活

実はこうした業界の買収関連の話題はこれだけではない。1960年代の“造れば売れる時代”の栄光を知る者の一人としては一抹の寂しさはあるが、SP、LP、ステレオLP、CD/SACD、そして昨今の姿かたちのないデジタルオーディオデータという具合に、音楽メディアの変遷と連鎖するようにオーディオ業界は確実に変化・様変わりをしているのを改めて実感するのである。

マッキントッシュやマジコを擁するオーディオ輸入商社のエレクトリが、コンサート・イベントなどのPA・SR事業を主力とするヒビノ(株)の子会社となったり(関連ニュース)、かつては数多かったオーディオ専門誌もこの何年かで廃刊が続出するなど触れ始めたらきりがなくなるほどだ。

音楽メディア関連でいえば、日本初のレコード会社(1910年=明治43年)の日本コロムビア(株)も、既にパートナーシップを結んでいた音楽配信を主力とする(株)フェイスの完全子会社にこの8月になる。その結果、日本コロムビアは株式上場が廃止される(関連ニュース)。

その一方、JVCケンウッドがビクターブランドのオーディオを復活させるという(関連ニュース)。その第一弾は新技術を投入したヘッドフォンとのことだ。歴史と伝統のブランドの復活には期待したい。

(藤岡誠)

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