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[連載]高橋敦のオーディオ絶対領域

【第183回】JH Audioのイヤホン新シリーズ「Performance Series」登場!3機種一斉レビュー

公開日 2017/03/24 10:30 高橋 敦
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続いてJH13V2 PROは、このシリーズの中ではいわゆる普通のモニター系サウンドに最も近いモデルと思う。Roxnや16V2は音色にしても音場にしても「豊かさ」「濃さ」が持ち味だ。13V2はその要素についてはそれらより控えられている。音像もそれらよりは細身でスッとしているし、背景を粒子で満たすような特濃の空気感でもない。

Roxnや16V2ではJH的な豊かさや濃さという個性にマスキングされていたモニターとしての基本的な資質が、この13V2では個性が薄まることで相対的に強く現れてくる。音像それぞれも空間配置も実に明瞭。いかにもモニター的な見えやすさであり聴き取りやすさだ。

この13V2は普通に「モニター系で最上級のサウンド」を求める方にもおすすめしやすい。加えてやはりJH的な個性、その気配も感じられるので、「モニター系の中でも他ではなくJHのコレを選ぶ」理由も備える。

ただ注意してほしいのは「V2」ではない先代モデルからの変化。先代はどちらかというとRoxn的な演出を含んだサウンドだったという話を伝え聞いており、ならば今回のV2はそれとは方向性が違う。先代とは別物として検討するよう、注意した方がよさそうだ。



さて、こうしてモデルごとに見ていくと、キャラの濃さとしてはやはり圧倒的に「ROXANNE」が強い。これの代わりなるモデルはどこにもないだろう。「13V2 PRO」は他に代わりがないという個性を備えるタイプではないが、だからこそ「モニター系」というジャンルのど真ん中で有力な選択肢になり得る。「16V2 PRO」はその中間的な印象だが、中間と言っても中途半端ではなく超ハイレベルだ。

ブランドやシリーズのフラッグシップにどのようなモデルどのようなサウンドを置くかは、当然だが実に重要だ。JHそしてこのシリーズにおける「ROXANNE」は、その観点からも見事なほどに「The フラッグシップ」だと思う。

シリーズの最上位に超個性的サウンドに振り切ったRoxnがあることで、シリーズのその下に配置されるモデルの個性も際立っている。何しろRoxnが振り切っているので、他のモデルの「Roxnとは別の方向性」もわかりやすい。おかげで、実際には明確な価格差がある割に「シリーズの低価格ライン」という印象にはならず、「シリーズの水平展開」のように感じられるのだ。

個人的にはやはり「ROXANNE」に終始圧倒されたが、だからこそ最後にはこの「Performance Series」のシリーズとしての完成度にも気付かされた。JH Audioは、イヤーモニターの創始者の一人というジェリー・ハービー氏の過去の経歴ではなく、実力でイヤモニ界に君臨するブランドだ。それを改めて思い知らされた。

高橋敦 TAKAHASHI,Atsushi
趣味も仕事も文章作成。仕事としての文章作成はオーディオ関連が主。他の趣味は読書、音楽鑑賞、アニメ鑑賞、映画鑑賞、エレクトリック・ギターの演奏と整備、猫の溺愛など。趣味を仕事に生かし仕事を趣味に生かして日々活動中。


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