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音質や使い勝手を検証

DSDも手軽に再生!ラズパイ・オーディオをiFI-Audio「micro iDSD BL」で試してみた

2017/03/12 海上 忍
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「ラズパイ・オーディオ」はDACボード?それともUSB-DAC?

Raspberry Piを核として組み立てるオーディオシステム「ラズパイ・オーディオ」。Hi-Fiオーディオとしての出力先は大きく2系統、基板上に用意された汎用入出力ポート(GPIO)にDACカードを搭載するか、USBポートにUSB-DACを接続するかだ。

前者は内部配線用のシリアル転送規格「I2S(Inter-IC Sound)」で接続するため、鮮烈なピュア・デジタルサウンドを実現できるが、Raspberry Piはマスタークロックを持たないがゆえにDACの性能を完全な形で引き出すにはノウハウが必要となる。

後者の場合は、アシンクロナス転送に対応したUSB-DACと高品質なUSBケーブルを用意すれば、かなりの再生クオリティを狙える。ラズパイ・オーディオで使用するLinuxは、低レイテンシーなど性能の高さで知られるサウンドアーキテクチャ「ALSA」を採用、USB Audio Class 2.0にも標準対応しているため、一般的なUSB-DACはケーブルでつなぐだけで動作する。

今回紹介する「micro iDSD Black BL」のフロントパネル

DSDネイティブ再生の手軽さという点では、USB-DACに軍配が挙がる。最新のLinuxカーネル/ALSAを利用すれば、Raspberry PiのI2Sは最大384kHz/32bitを伝送できるが、信号をPCMと識別するなどの処理を要するため一筋縄ではいかない(そのようなスペックのDACボードとドライバが必要)。しかし、USB-DACであれば、DoPを使えばDSD 5.6MHzあたりまではあっさり再生できてしまう。ラズパイ・オーディオでDSD再生を重視するなら、USB-DACが合理的な選択だ。

アナログ部を大胆に刷新した「micro iDSD Black Label」

「micro iDSD Black Label(BL)」は、DAC内蔵ポータブルヘッドホンアンプだ。先代micro iDSDは、筆箱ほどのサイズながら対応フォーマットはPCMが768kHz/32bit、DSDが24.6MHzというハイスペックで、クロスフィードで自然な音場を生み出す「3D+」、低音を引き締める「XBass+」などのスイッチも用意され、その組み合わせにより音質を微調整できるなど心くすぐる仕掛けの数々でポータブルオーディオファンを魅了した。今回のモデルはその“進化版”という位置付けだ。

micro iDSD BLのリアパネル

側面にはカスタマイズ用の各種スイッチが並ぶ

ただし、micro iDSD BLと先代はスペック/機能面で変わらない。バー・ブラウン製DACのデュアル構成などデジタル部はそのまま踏襲するが、アナログ部を大胆に刷新したのだ。先代の驚異的なスペックは、XMOS製チップにiFi-Audioオリジナルのソフトウェアを組み込むことで実現されているが、発売から3年を経過した現在でも第一線級であり、積極的にグレードアップすべき時期には到達していない。電源部とアナログ部に手を加えることで音質向上を狙うという判断は妥当なものだろう。


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