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【特別企画】アナログ出力でも納得のサウンドへ進化

世界的エンジニア・鈴木智雄が聴くiFI-Audio「micro iDSD BL」。自宅でも”スタジオと違和感のない音”が手に入る

公開日 2017/03/06 14:02 季刊・ネットオーディオ編集部:浅田陽介
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■micro iDSD BLでなくなったアナログ出力の違和感

「今回、micro iDSD BLの音を聴いてみたら、音は鮮明だし空間の濁りが著しく減少したりと色々なところがアップグレードしてたんですけど、特にアナログ出力の音がとにかくすごく良い感じに聴こえたことが印象的でした。これが旧micro iDSDとの一番大きな違いだと思います。

旧micro iDSDはアナログ出力に若干の違和感があったんですよね。同じ96kHzのファイルをデジタル出力するのとアナログ出力するのでは、アナログ出力の方では“悪くはないけど、決して良いとは言い難いな”というところがあったんです。それがmicro iDSD BLではすんなりと"あぁ、良い音だ"と受け入れることができたんですよ」

micro iDSD BLを聴いて、旧micro iDSDで感じたアナログ出力の違和感がなくなったと話す

鈴木氏はパソコンからmicro iUSBPowerを経由してmicro iDSDへと接続し、96kHzまでは自身が愛用するアキュフェーズのデジタルプリDC-330へ、それ以上のサンプルレートやDSD 11.2MHzを聴く時はそのままmicro iDSDのアナログ出力から再生する方法を採ってきた。これには実は鈴木氏が感じていたこのmicro iDSDの数少ない「弱点」に関係していたようだ。

■いきなりスピーカーの間に音像が出てきて、楽器の定位が3D的に分かる

「いまやっているDSDレコーディング作品の音を、DSD11.2MHzと96kHzとで家で聴き比べてみたんですよ。すると、PCMは変な話、迫力はあるけどちょっと雑な音がするんですよね。DSDは滑らかだし高品位で、当然時間をかけて聴いていくと、やっぱりDSDの11.2MHzの方が良いわけ。そういうことを、今回のmicro iDSD BLではすごく感じました。旧micro iDSDはDSDでは、聴いた時に少しだけ“あれ?”っていうのがあったんですけど、micro iDSD BLではそんなこと全然なくて、いきなりスピーカーの間にバンっと音像が出てきて、楽器の定位がすごい3D的に分かった。それは多分、音場のS/Nが良いということなんだと思います。

あと、旧micro iDSDは、アナログ出力で聴くときは2〜3dBあげないとしっくり来なかった。それもあって“音のヌケがいまひとつだな、やっぱりデジタル出力の方が良いな”と思っていたんですけど、今回のmicro iDSD BLはこの2〜3dBの差っていうのがないんだと思います。デジタル出力とアナログ出力の音質の差もあまり変わらないんですよね。DAコンバーターとしての実力が確実に向上しています。

あと、両者の音色は相当変わっていると思いますよ。いまいちしっくりこなかったものが、違和感ないものになったとうことはそういうことも関係していると思います。一番変わったな、と思うのが、楽器の実在感がすごい良くなったということ。旧micro iDSDは、柔らかいんだけどちょっとボヤっとした印象を持っていました。でもmicro iDSD BLではスッキリ明確にカチッとなる。かといって異常に硬いわけでもなく、実在感が非常に良い感じで“楽器が楽器らしく鳴るようになったな”と思います」

これが鈴木氏のmicro iDSDの各種パラメーターセッティング。Power Modeを「Nomal」、Polarityを「+」、Filterを「Standard」としてDirectモードでアンプへと接続している

鈴木氏の耳を持ってしても、micro iDSD BLへの進化は相当なものだったようだ。また、機器のポテンシャルを存分に発揮させるために必要となるエージングについても、鈴木氏は驚いたと話す。

「いくらエージングに時間がかかると言われても、こういうUSB DACって電源を20分も入れれば安定するものなんです。それでいつもみたいに電源を入れて20分くらいうっすらと音を出していたんですけど、micro iDSD BLの場合はその段階でほとんど違和感がないんですよ。そこから1週間たってもそこまで大きな変化があるわけじゃなかったので、私みたいな使い方をしている分には、エージングもそんなに気を使わなくて大丈夫だと思います」

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