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【特別企画】ネットワークブリッジ「PlayPoint」との組み合わせも

exaSound「e32」を聴く ー コンパクトボディにESS最新DACや独自USBオーディオ技術を凝縮

2017/02/20 角田郁雄
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同社製USB-DAC専用のネットワークブリッジ「PlayPoint」にも注目したい

e32をはじめとするexaSound製のUSB-DAC専用のネットワークブリッジ、「PlayPoint」にも魅了されずにはいられなかった。

exaSound「PlayPoint」無線LAN機能搭載モデル(ESD-PP10WW):262,000円(税抜)、無線LAN機能非搭載モデル/日本限定(ESD-PP10JP):277,000円(税抜)

これを使えば、LANに接続してNASからハイレゾ音源をネットワーク再生できる。FAT32規格のUSBストレージをダイレクトに接続して、そこに保存した音源をアプリから操作して再生することもできる。PlayPointは、簡単に言い換えればネットワークトランスポート、またはD/Dコンバーターと言える。

PlayPointは最近話題の再生ソフトウェア、Roonに対応するデジタル処理ボードを備えており、RoonReadyとしてはもちろん、サーバー等の役割を果たすRoon Coreとしても使用できる、これ1台で、UPnPやMPD、Roonを含む複数のネットワークオーディオ用プロトコルに対応できることも特徴だ。

無線LAN機能非搭載モデルの背面端子部。USB-A端子は、片方を同社製USB-DACとの接続に、もう片方をUSBストレージとの接続に用いることができる

e32とPlayPointはUSBケーブルで接続するが、e32は一般的なUSB Audio Class2.0を使わず、独自のUSBプロトコルを使用する。これによりジッターを低減し、USB伝送のタイミングエラーの抑制を実現している。

高密度な音楽と豊かな倍音再現。広大なステージが広がる

LANに接続したPlayPointにFAT32のSSDストレージを接続。e32とはUSB接続して、iPadの「Kinsky」アプリで操作した。

グレース・マーヤ「Love Song For You」(11.2MHz DSD)を再生したが、DSD256でも音の途切れは全くなく、瑞々しいアナログ的な音質で再現したことに感激した。特にボーカルにウェットな声質と微妙な声使いが聴きとれ、DSD256の豊かな倍音と高密度な特性が発揮された。ドラムスのシンバルでは、繊細で柔らかな質感が加わり、エレクトリックピアノの倍音に真空管らしい、ふくよかな質感を感じる。

PlayPointに音源を保存したUSBストレージを接続して、Roon(Core)を立ち上げ、e32から再生したところ。このほか、UPnP/OpenHomeモードでNASからの音源再生も行った

この曲は、私が普段愛用するDACでは高域が薄口、痩せ気味になるのだが、e32では中低域に厚みを持たせた、ピラミッド型に近いバランスで再現される。高域は伸びているが、歪感は皆無でナチュラルだ。

2Lのマニフィカト(352.8kHz/24bit FLAC)は、室内オーケストラと女性合唱団による作品だ。曲によって、ソロ・ソプラノが加わる、美しい高音質アルバムで重厚なパイプオルガンも加わる。再生してみて、まさにサイズを超えた音に驚いた。

ステージが広く、教会の残響が豊かだ。前面の左右に弦楽パートが広がるのだが、その響きは木質感たっぷりで音数も多い。女性合唱の清涼感に溢れた声は実に美しく、澄んだ空気を感じさせる。中央のソプラノもリアルに低位し、オルガンの音は濁らず、リニアに伸びてくる。ES9028PROのダイナミックレンジの広さ、変換精度の高さ、解像度の高さがフルに発揮されていると感じた。

ジャズは往年のアナログに迫る生々しさを示す

ブルーノートの往年のジャズアルバムやコロンビアのマイルス・デイビスのアルバムを再生しても、音が高密度、なおかつ倍音の再現性が高いので、トランペットやテナーサックスでは金管らしい重厚な響きを示して生々しい。シンバルの音の鮮度の高さも素晴らしく、ベースやピアノに重量感を感じる。往年のアルバムにアナログに迫る、聴き応えを感じさせてくれるのだ。

PlayPointでRoonを立ち上げて、e32から再生を行ったところ。Roonのアプリからシグナルパス表示を見ると、PlayPointおよびe32の名前が確認できる

マイルス・デイビスの「The Last Word」は44.1kHz/24bitとサンプルレートがここまでの音源より低いが、躍動感に溢れた演奏と音で見事な再現。44.1kHzの音も実に良い。CDリッピングも存分に楽しませてくれる。

Roonの再生も行ったが、iPadの操作画面のデザインが美しく、操作する楽しみが湧く。英文ではあるが、数々のアルバムのライナーノートも読むこともできるのもいい。音質面では、FLACファイルをPlayPoint内部で非圧縮データに戻して再生するからであろうか、一枚ベールを剥いだような、さらに鮮度の高い音が体験できる。



このようにe32とPlayPointの組み合わせは、実に魅惑的だ。熟練オーディオ愛好家も注目するだろうし、前述のように高品位なハイエンド・スタイリッシュ・オーディオを実現したい方にもおすすめできるモデルである。この音にはぜひ、実際に触れてみて欲しい。

(角田郁雄)



特別企画 協力:株式会社エミライ

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