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【特別企画】ネットワークブリッジ「PlayPoint」との組み合わせも

exaSound「e32」を聴く ー コンパクトボディにESS最新DACや独自USBオーディオ技術を凝縮

公開日 2017/02/20 11:18 角田郁雄
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非同期型USBレシーバーなど独自USBオーディオ技術を多数採用

まずUSB入力に関わる技術として注目すべきは、入力される音楽データを一度メモリーにたくわえてから、e32の高精度クロックに同期させる「非同期型USBレシーバー」を使用することだ。これにより入力の最上流からジッターを大幅に低減することができる。

内部には超高精度、超低近傍位相ノイズのFemtoMasterテクノロジーによるクロックを搭載。USBレシーバーや同軸/光などの外部デジタル入力を含めたDAI部(デジタル・オーディオ・インターフェイス)の44.1kHz系と48kHz系、さらにDACチップに、それぞれ専用の水晶発振器(合計3基)を用意している。

いちはやくDSD256(11.2MHz/12.2MHz DSD)に対応を果たしたexaSoundのUSB-DAC。本機もDSD256やPCM 384kHzの再生に対応する

ちなみにFemtoMasterテクノロジーにおけるマスタークロックのジッター値は、0.082ピコ秒(82フェムト秒)と極小。フェムトは1000兆分の1を示す単位で、ジッター特性が格段に高いことがおわかりいただけるはずだ。

e32は最上流のUSB入力からD/A変換まで、伝送距離を最短にして、かつジッターをとことん排除する技術を搭載しているのだ。さらに、その効果を最大に活かすべく、PCノイズや外来電磁波のグランドループによる回り込みなどの影響を低減するためのガルバニック絶縁回路を、USB基板とDACチップの間に搭載している。同社はこれをGalvanic Infinity技術と呼称していて、D/A変換とアナログ出力段へのノイズの影響を極小とすることができるとする。

DAC性能を最大限引き出すために電源や各種音質部品を強化

また、独自アルゴリズムによるボリューム調整機構によって、音楽信号を常にレベルを下げないで、フルスケールの0dBFSで出力するように調整して、ES9028PRO内部の32bitデジタルボリュームで直接制御する仕様としている。これによりビットを損失することなく、解像度を下げずに本機で音量が調整できる。

D/A変換後のアナログ信号は、バランス構成のI/V変換回路と出力バッファー回路を経由してアナログ出力される。S/Nも120dBと実に優秀である。16Ωインピーダンスのヘッドホンを使用して4Wも出力できる内蔵ヘッドホンアンプも、高音質で制動力が高い。

各部の精度を高めて高音質を実現するために、低ノイズレギュレーター、高品位オペアンプ、0.1%精度の薄膜抵抗、タンタルポリマーコンデンサーなども使われている。どのようなハイレゾ音源もビットパーフェクトで再生できるように、ソフトウェア的な処理を一切行わずにDACチップへと信号を伝送するEnclusive Technoogyという技術も搭載する。

e32の背面端子部。入力はUSBに加えて、同軸/光デジタル端子を搭載。アナログ出力はRCA/XLRを各1系統ずつ備える

電源については、標準モデル「ESD-E320P」では汎用の電源アダプターが付属されるが、日本限定仕様モデル「ESD-E32WP」では、大型トロイダルトランスを使用したクリーンな電源を供給する高品位アナログ電源が付属する。これらの電源から本体へ直流12V/1Aを供給するが、本体内部には電源ノイズを最小にするための11個の電源フィルターを使用。各部の直近にローカル電源を配置している。これはジッターやクロストークを抑えることにも貢献する。

このようにe32は、ES9028PROを搭載しただけではなく、DACの性能を最大限に発揮するために独自の技術を投入して、D/A変換と音楽再現の理想を追求しているのだ。価格はどうしても高くなってしまうが、これらの先進的な技術と高品位なパーツをコンパクトなボディに惜しみなく投入していることに、私はむしろ感心した。

次ページ同社製USB-DAC専用のネットワークブリッジ「PlayPoint」にも注目したい

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