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[連載]高橋敦のオーディオ絶対領域

【第173回】これを選べば間違いない? 「安定のMk-II」オーディオアイテム大特集!

公開日 2016/12/16 10:30 高橋 敦
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●AKG K550MK II|実売2万1000円前後

MK IIに生まれ変わったK550!……ん?

すっごい小さく「MKII」とは書かれているが……

AKG密閉型ヘッドホンのトップエンドとして高評価を得た「K550」のMk-IIモデル。これは外せないし、ハズレなし!……と言ったものの、頭っからいきなり例外で申し訳ないのだが、実はこのモデル、製品名は「MK II」なのだが「改良型」ではない。

公式に詳しく明らかにはされていないが、設計を変更したわけではなく、製造工場や製造設備の変更に伴い製造工程などを見直したモデルのようだ。外観はロゴの印字が少し変わっただけだし、音も製造ロットの違いとかそういうレベルでの差異があるという程度。


その程度であれば製品名まで変更せずサイレントアップデート扱いで良いのでは?と思うが、そこをきっちり表明してきた生真面目さはAKGらしい。

そんな現行K550のサウンドは、「バランス型」「すっきり系」を代表するハイクオリティ。初代機登場の2011年当時はまだ、もっちりとしてたっぷりと分かりやすい「重低音」の勢力が強かった時期。そこにこういうサウンドをさらりと投入してきたのはさすがだ。

そしてK550MK IIは「改良型としてのMk-II"ではない"」ので、その名機初代「K550」のレビュー記事や口コミなど、豊富な情報を参考にこのモデルも検討することができる(K550レビュー記事はこちら)。

サウンド傾向がバランス型で得手不得手が少ない上に、参考にできる評価情報も豊富と、何とも選びやすいヘッドホンだ。そういった意味からは「安定のMk-II」と呼ぶに不足なし!と言える。

●Astell & Kern/beyerdynamic AK T8iE MKII|11万0000円前後

初代モデルは、イヤホンとしては初のベイヤーダイナミックテスラ技術採用ドライバーを搭載している。その発売が2015年秋、そこから驚くほどの間の短さで2016年夏に発売されたのがこちらの「MKII」だ。

外観的にはケーブルの違いが最もわかりやすい。というかぱっと見でわかるのはそこくらい

MMCX端子の信頼性向上などの細かな改良はこれぞMk-II!

改良点としては、
・ドライバーのボイスコイルを新開発
・ケーブルを導体からスリーブまで一新
・MMCX端子の接触性と耐久性を向上

といったところ。

初代モデルに対して発売直後からそれらの点を改良してほしいという要望が集まり、メーカーとしても早期に対応すべきと判断したということだろう。一年も空けずのアップデートというのは異例で、初代機を購入した方々には複雑な想いが生まれたのではないかと思う。そこにもっと多くの配慮があればなお良かったはずだ。

ケーブルも新しくなっている

AK T8iE MKII(手前)とAK T8iE(奧)

という点はまた別の話としてさておき、この「MKII」はダイナミック型ドライバー搭載のハイエンドイヤホンとしてトップクラスに君臨する一つだ。そして面白いのは、技術的な部分部分を見ればマイナーチェンジの範疇なのだが、音の変化はその範疇ではないというところ。初代は低域の豊かな広がりと厚みを特徴としていたが、MKIIは高域のエッジも際立ち低域側と高域の両翼で個性を発揮。クラシカルなピラミッドバランスから現代的なワイドレンジ感への転身だ。

よって、K550とは逆にこのモデルは、サウンド面について初代の評価を当てはめることができない。なので初代を試聴してそれが好みではなかった方、初代の評判を見聞きして選択肢から外した方も、こちらMKIIは改めてチェックしてみてほしい。逆に初代の音が好みの方なら、このMKIIはさほど気にしなくて良いかもしれない。

名前もルックスもMk-IIなのにサウンドはそうではない。“Mk-II界の異端児”的なモデルでもある。しかしMMCX端子の信頼性強化といったところは正に「堅実なアップデート」であり、そこは「安定のMk-II」だ。

次ページ初代機の完成度が高いヘッドホンアンプのアップデートは、正にMk-II!

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