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機能性もルックスも高い完成度を確立

ゼンハイザー「MOMENTUM On-Ear Wireless」レビュー。ワイヤレスの軽やかさを満喫できるヘッドホン

公開日 2016/10/11 10:00 高橋 敦
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早速試聴してみたが、もちろん音も良い。特に低音のチューニングが巧みだ。

相対性理論「たまたまニュータウン (2DK session)」のドラムスとベースも太さと弾力が光る。特に弾力。聴きながら歩くとまるで自分の足腰が良質に弾む筋肉を得たかのように、まさに弾む足取りで歩けてしまう。筋肉は実際には何も変わらないのですぐに現実に負けてしまうが、気分的にはそうなのだ。

足取りも軽くなる、弾力ある「楽しい低音」が特徴

シンプルに言えば「楽しい低音」。ロックのドライブ感やジャズのスイング感といった弾みや勢いの表現に特に長けている。低音というのは屋外では騒音に負けがちだが、このモデルはノイズキャンセリング搭載。屋外でもその楽しさは損なわれない。外出時には明るい心持ちでいたいものだし、躍動するこの低音は多くの方にとって好ましいものだろう。

Q-MHz feat. 小松未可子さん「ふれてよ」もエレクトリックベースの役割が大きい曲で、こちらではその好感触がさらに際立つ。ベースの再低音域までを使うフレージングでも音の輪郭も弾みも太さも維持され、戸惑いながらも強く踏み出していく歌詞、その歌をベースが表現しサポートしている。そのアレンジや演奏をより明確に伝えてくれる。

Q-MHz feat. 小松未可子「ふれてよ」

ボーカルは飾らない手触りや響きで、小松未可子さん等身大の雰囲気に近い印象。歌詞ともマッチしており、この歌はこの聴こえ方で正解なはずだ。シンバルのシャープさやギターのエッジは目立たせず、しかしそれらのクリアさは確保。解像感をわかりやすく立てることに偏らず、素直な音、素直な響き、聴きやすさとのバランスが適切だ。MOMENTUM、特にこのOn-Earに求められる身近さ、音もそれに沿ったものになっている。

このモデルが登場するまでの流れ、そしてこのモデルの実物の仕上がりと音を確認して強く実感したのは、明確なコンセプト、そしてそこからブレない物作りだ。

「Sennheiser」のブランド力の大きさを踏まえた上であえて言うが、その「Sennheiser」とは別に、この「MOMENTUM」もシリーズというだけではなく、それ自体がひとつのブランドとして確立されつつあるのではないか。そんなことも思わされてしまうほどの完成度を、この「MOMENTUM On-Ear Wireless」は見せてくれた。

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