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デザインにも高いクオリティを追求

高い技術力で音質もBT/NC機能も両立する、ゼンハイザー「MOMENTUM Wireless」レビュー

2016/10/03 高橋 敦
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それでは最後にサウンドの確認をしていこう。

相対性理論「たまたまニュータウン (2DK session)」ではまず、バスドラムとベースの豊かな響きが印象的だ。レコーディングブースの部屋中の空気感も一緒に再現するかのようなその響き、そして素直な大柄さの音像で、雄大と表現したくなるようなスケール感を醸し出す。では低音楽器を強く押し出すタイプかというと、ギターやボーカルも同じく素直に大柄でバランス良好だ。響きの質もぼわんとしておらず、空気感を出しつつ空間の見通しにも十分な明瞭さがある。

相対性理論「たまたまニュータウン (2DK session)」

機能の重なる「MOMENTUM On-Ear」との違いが気になる方も多いだろうが、サウンド面においては正にこの部分、低音楽器の感触と全体の大柄さががこちらの特色だ。

例えば、空気を入れて膨らませるタイプのボールを想像してみてほしい。MOMENTUM On-Earのベースはやや小さめのボールに空気を多めに詰め込んで弾みが良い。こちらのベースはやや大きめのボールに空気を適度に詰め込んで少し柔らかな手応えだ。

大きめで少し柔らかい感覚がMOMENTUM Wireless(左)の特徴

ミディアムテンポの大きなグルーヴで進んでいくQ-MHz feat. 小松未可子さん「ふれてよ」とは特に相性が良いと感じた。歌詞は等身大の女性の心情を歌ったもので小松さんも飾らずに歌っているが、サウンドはその彼女が踏み出す一歩を後押しするように力強く、包み込むように大きい。このモデルはそこをほどよく強めてくれるので、心地よさや安心感といったものが伝わってくる。

この曲に限らず、タイトでカッチリとしたリズムよりも、もう少しおおらかなグルーヴを重視した曲には特にフィットする印象だ。バラード系にもぴったりだろう。曲がどうこうではなく。自身の音の好みがゆったり系寄りという方にも合うのではないだろうか。

ボーカルからギターにかけて、中高域の手触りは整えすぎず生成り感を残し、暖かみもある。シャープさやエッジ感を強調せずにある意味で素朴なタッチはOn-Earと共通で、ここはシリーズの音作りだろう。音の大柄さの分On-Earよりは主張が強いが、この手触りなら聴き疲れはしにくそうだ。

全体を通して一言で言えば、「MOMENTUMはMOMENTUMのまま進化した」ということに尽きる。アラウンドイヤーとオンイヤーそれぞれに、ワイヤレス&ノイズキャンセルモデル、そして以前からのワイヤードモデルと明快なラインナップが揃ったことで、シリーズとしての魅力がさらに高まった。どれを選んでも満足を得られることだろう。

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