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上位機と同等のDAC/ヘッドホンアンプを搭載

【レビュー】ラックスマン「DA-150」を聴く。約10万円だが豪勢な構成のDAC/ヘッドホンアンプ

公開日 2016/08/23 12:08 岩井喬
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こうしたDA-150への進化において大きく変わった点が筺体サイズである。DA-100はA5サイズであったが、本機はそれよりも少し大きなB5サイズ(DA-250の半分)となった。DA-250と同等のDAC、ヘッドホンアンプ構成(アンバランス回路のみ)そしてLECUAの採用、リニア電源などの構成をまとめるにはA5サイズは小さすぎたのである。むしろこれだけの仕様をB5サイズに詰め込んだ事実の方が脅威であり、同一価格帯でここまでの物量投入モデルは見当たらない。もちろん初めてラックスマン製品に触れるという方にとってもこれほど理想的な選択肢はないだろう。

ヘッドホン再生では申し分ない駆動力と澄み切ったサウンドを実感

それでは実際にDA-150のサウンドを確認してみたい。まずはヘッドホンの試聴である。前述したように本機はヘッドホンアンプ部に電子制御アッテネーター LECUAを備えているが、このLECUA搭載製品として最もリーズナブルであるという点に注目したい。アンプ構成は上位モデルDA-250と変わらないので、ヘッドホンでの試聴を前提とするならば本機で事足りてしまうのではないか。今回試聴のために選んだモデルはニュートラルなサウンド性を持つシュア「SRH1840」、そして鳴らし難いハイインピーダンス機の代表格であるベイヤーダイナミック「T1 2nd Generation」である。

SHURE「SHR1840」と組み合わせて試聴

SRH1840との組み合わせでは個々の音をクリアにトレースするとともに、高S/Nな音場が展開。低域方向の分解能も高く、ベースとキックドラムの分離も鮮やかだ。SRH1840も比較的ハイインピーダンスなモデルであるが、駆動力については申し分ない。オーケストラの旋律はほぐれ良く、見通しの深い響きを味わえた。ハーモニーの描写も丁寧で、低域のダンピングも高く、余韻の響きもクリアにまとめてくれる。

ジャズピアノは爽やかな響きで、ウッドベースもキレ良く弾力あるタッチで表現。ロックのディストーションギターもフォーカス良く鮮やかで、リズム隊も締まり良い。ボーカルの音像はボトムをしっかりと感じさせる安定傾向。女性の声は艶張りが良くクールで、リヴァーブの余韻も澄み切っている。音像の質感もバランス良くしなやかで、DSD音源になると音離れの良さが際立つ。ピアノやシンバルなど、高域のトーンはやや硬質だが余韻の粒立ちは非常に細やかで、にじみのない清涼な消え際を味わえる。

鳴らしにくいハイインピーダンスヘッドホンの実力も存分に引き出す

一方、「T1 2nd Generation」でのサウンドはオールレンジで締まり良く制動の効いた傾向で、高域方向がブライトに輝く。スネアやボーカルはシャープに描かれ、ロックのキレ良いリズム隊とエレキギターの小気味よい刻みをスマートに表現する。オーケストラの管弦楽器はハリ良く生々しい旋律で、低域の響きは制動良く引き締め、クリアな音場が展開。余韻の表現も丁寧で、特に木管の響きはおおらかさも感じられる。

beyerdynamic「T1 2nd Generation」と組み合わせて試聴

ジャズピアノは涼やかなタッチでローエンドの響きまで伸び良く描写。質感は粒立ち良く、スネアブラシもアタック感を細やかに拾い上げる。ウッドベースは締まり良く、ブンブンと力強い胴鳴りを聴かせてくれた。

DSD音源においてはS/Nの良さをより良く味わえ、余韻の収束の早い爽快で清らかな響きに満ちた音場が広がる。女性の声も上品かつ潤い良くクールなタッチで、ディティールは流麗に描き出す。解像感の高い明瞭なサウンドといえるだろう。

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