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ドライバーや構成の違う5モデル

Fenderイヤホン全5機種一斉レビュー!各モデルの音の違いを探る

2016/07/11 折原一也
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2基のBAドライバーを搭載した「FXA5」

5機種のちょうど中間となる「FXA5」ではドライバー構成がガラリと変わる。BAドライバーを2基搭載し、高域×1、低域×1という構成で、これは前身のAurisonicsにはなかったユニット構成のモデルだ。こちらも3Dプリンターによるハウジング、そしてGroove-tunedポートを搭載する。再生周波数帯域は19Hz〜21kHz。MMCXによるリケーブルにも対応する。

「FXA5」¥OPEN(予想実売価格37,800円前後)

5モデルを価格が安い順番に試聴していくと、BAドライバー2基構成というドライバー構成からも想像できるとおり、FXA5から音の印象が大きく変わる。

『The Getaway』では、ギターリフの刻みの鋭さ、立ち上がりの急峻さが明確に増し、ソリッドな現代的なサウンドを、よりダイレクトに聴かせてくれる。DXA1やFXA2の音調からは一転、ベースは付帯音を排除した瞬発力重視の再現となり、バスドラムも立ち上がりと立ち下がりが鋭くなる。実際に楽器を演奏する方が好む、モニターライクなサウンドと言えるだろう。

低域のスペックだけみると、FXA2は下限が6Hzなのに対して、FXA5の下限は19Hz。ダイナミックドライバーによる低音の質感や沈み込みを重視する方向から、よりタイトなモニター調へと表現を振っていることがスペックからもわかる。しかし、中広域の抜けの良さ、明快なアタック感はFXA1やFXA2と共通するように感じる。ギターの倍音や残響が作る奥行きもしっかりと描いている。

クラシックを聴くと、空間再現のスケールが大きく、埋もれていた楽器の音も随所で存在感を見せてくる。各音の輪郭は繊細でセパレーションにも優れている。ソースに忠実な、モニター的なリスニングに無垢と言えるだろう。2基のBAドライバーはそれぞれ低域と高域を担当するが、両帯域のつながりが良く、位相も正確だ。

DXA1とFXA2を聴くと、BAドライバー2発のFXA5は同一ラインナップとしてどのように音をまとめてくるのか気になったが、良い意味で予想を裏切られた。ダイナミック型ドライバーモデルの2機種とは音作りを明確に異にする、ソリッドでモニター志向に振ったサウンドだ。解像感の高さも特筆でき、ロックはもちろん、どんなジャンルの楽曲も鳴らしきるポテンシャルを秘めている。

次ページダイナミックとBAのハイブリッド構成「FXA6」

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