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6000シリーズのCDプレーヤー/プリメイン

マランツ「CD6006/PM6006」レビュー。クラスを超えたスタンダード・シリーズ

公開日 2016/07/06 10:51 石原 俊
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フォノ入力の音質もチェック。LPでも演出の少ない客観的な音楽を聴ける

前述のようにPM6006にはフォノイコライザーが搭載されているのでアナログレコードも聴いてみた。プレーヤーはラックスマンの「PDー171A」を、カートリッジはゴールドリングの「2500」を使用した。結論から先に申し上げれば、PM6006はアナログレコード再生の強い味方になってくれる。

搭載されているフォノイコライザーはNF型のシンプルなものと推察されるが、シンプルであるがゆえに余計な音作りがなされておらず、摩天楼型のすらりとしたエネルギーバランスのサウンドが得やすい。このアンプと組み合わせるクラスのプレーヤーの多くはピラミッド型のエネルギーバランスだが、低域が無暗に膨らむ心配がないから安心して使うことができるだろう。またマランツらしいミュージカリティはLP再生でも健在で、非演出的・客観的な音楽表現を聴くことができる。

セット販売されるZENSOR1&CM1 S2との組み合わせもテスト

マランツは本ペアとDALIの「ZENSOR1」およびB&Wの「CM1 S2」をセット販売する計画なので、これらについても試聴した。まずはZENSOR1から。やはりこのペアはフロア型よりもブックシェルフ型のほうが相性は良いな、というのが正直な感想だ。GOLD300では小さなエンジンを積んだ大型セダンのようなギリギリ感があったのに対して、ZENSOR1では2000cc程度のエンジンを積んだ小型スポーツカーのような小気味よさが感じられる。音楽的にはマランツらしい厳格さが緩み、エンターテイメント性の高い表現が得やすい。この組み合わせでジャズやロックを聴くのは楽しいだろう。

B&W「CM1 S2」

DALI「ZENSOR1」

一方、CM1との組み合わせはより本格的だ。精密感のある音像は深く静かな音場に展開し、バッフルよりも前に出てくることはない。音楽的にはマランツらしい客観性が支配的で、プロの音楽評論にも使用できると思う。アマチュア用としては本格オーディオの登竜門だ。



実をいうと、筆者は前モデルのPM6005を自宅のリビングルームで使用している。このアンプと小さなブックシェルフ型スピーカーで、私と家族は音楽やテレビ番組を十分すぎるほど楽しんでいる。仕事柄大きな声では言えないのだが、スモールサイズのブックシェルフ型スピーカーを普通に使用するのにこのクラス以上のアンプは不要……とすら思っているほどだ。高級品志向の愛好家はこのクラスの製品に見向きもしないであろう。しかしながら、このクラスのオーディオ・エレクトロニクスはユーザーに大きな喜びを与えてくれるのである。

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