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<山本敦のAV進化論 第89回>

新iPad Pro 9.7インチは“ノートPCの代わり”になるか? その“ビジネス力”を見極める【前編】

2016/04/06 山本 敦
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もともとiPadは“ノートPCの代わり”にはなれど、“デジカメの代わり”にはなり得ないデジモノだと筆者は思っている。両手に構えて写真を撮るには大きすぎるし、目立ちすぎる。

iPadのマルチウィンド画面。最大2つまでのアプリをマルチタスク起動できる

もちろんiSightカメラの性能が大幅にアップしたことは大歓迎なのだが、現実的に考えて、旅行で写真を撮るなら、大半の人々がより取り回しのいいiPhoneなどスマホを一番手として使うだろうし、セカンドチョイスとしても、スマホより一歩進んだ高画質や防水性能など特殊な撮影シーンに強いコンデジを選択するはずだ。

ただし「自分撮り=セルフィー」に活用するなら、9.7インチの大きな画面でプレビューしながらキレイな写真が撮れるiPadの便利さを実感できる。アプリを併用すれば写真の加工も簡単だし、撮った写真の出来映えを家族や友達と一緒に見ながら楽しむのにはタブレットの大画面が好都合だ。iPad Pro 9.7インチのディスプレイは画面が500nitと明るくなって、色域も拡大した。撮った写真や動画を再生してみても、これまでより色鮮やでシャープな印象を受ける。撮った写真を肴に話も弾みそうだ。

ディスプレイについて付け加えておくと、新機能の「TrueTone Display」が、長い時間PCの画面に向き合いながら目を酷使してきた生活にピリオドを打つ救世主になってくれるのではないだろうかと、勝手に期待を寄せている。

機能をオンにすると、iPad本体に内蔵されている4チャンネルのセンサーが、使用環境の明るさに応じて自動的に画面の色合いを最適化してくれる。iPadを最初に起動して、初期設定の項目に当機能をオンにして使うか確認が求められるので、効果のほどはプレビューしながらチェックできる。

本体初期設定時に「True Tone Display」のオン/オフを選択するメニューが表れる。写真左がオン時、右がオフ時。色温度の違いから白色の見え方が変わってくる

特に画面に表示されるホワイトの色合いが、いかにもデジタルっぽいスノーホワイトな色調から、より紙の色合いに近いナチュラルホワイトに和らぐので、最初のぱっと見では違和感を感じても、長時間使うと目に優しい効果がじわじわと感じられる。特にiPadを電子書籍リーダーとして活用する機会の多い方におすすめしたい。

■格安SIMを活用でセルラーモデルを月1,000円以下運用

昨今、一般に“格安SIM”や“格安スマホ”というキーワードが話題になることが増えてきた。当サイトの読者にも、既にそれぞれのサービスを活用されている方も多くいらっしゃると思う。

iPadを家の中だけで活用する分にはWi-Fi単体モデルで十分だが、無線LANに接続できることが保証されていないアウトドア環境を中心に活用するようであれば、LTE対応のセルラー通信ができるSIMフリーのWi-Fi+CellurarモデルのiPadが断然おすすめだ。

数年前まではスマホの他にもう一回線キャリアのデータ通信契約をしなければならなかったり、それが嫌ならポケットWi-Fiを別途携帯する煩わしさに耐えることが必要だったが、格安SIMを賢く選べばiPadのネットワーク通信をローコストでランニングできる。これはiPadがノートPCの利便性を超えるために最も重要なファクターの一つだ。

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