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海上忍のラズパイ・オーディオ通信(11)

システム更新でラズパイ・オーディオの音質が向上?「Volumio 2」の開発版を試す(前編)

公開日 2016/02/29 12:09 海上 忍
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一方、Raspbian自体はVolumioとは関係なく開発が進む。カーネルもサウンドライブラリも独自に開発が進められており、Raspbianは「Debian」という上流にあるLinuxディストリビューションの成果を取り入れる立場だが、その下流に位置するVolumioは原則としてRaspbianでの採用を受けてからとなる。

微妙な喩えだが、カーネルやALSAといったLinuxの基礎に位置付けられる開発プロジェクトを親亀とすると、Debianは子亀にあたる。Raspbianは孫亀だから、Volumioは「ひ孫亀」になるだろうか。世代が下がれば、そのぶん最新技術/仕様の伝播する速度が鈍る、ということにも察しが付くはずだ。

現行のVolumio(v1.55)は、2013年5月公開の「Debian 7.0(wheezy)」を基にしたRaspbianをベースとしており、2015年4月に公開されたDebianの最新版「Debian 8.0(jessie)」より古い。当然、jessieのほうがLinuxカーネルもサウンドライブラリのALSAも新しい。実際に聴いたときの印象はまた別の話として、システムを更新すれば洗練される、音質面で有利な方向に働くと考えるのは自然だ。

Volumio 1.55にリモートログインしたところ。バージョンが変われば音も変わる?

Volumio 1.55のWebUI。新しいVolumioでは、ここが大きく変わる

もちろん、Volumioの開発は現在進行形だ。「Volumio 2」と呼ばれる次期バージョンがRaspbian jessieをもとに進展しており、2016年2月現在Beta 2が最新版だ。αステージを終え、正式公開もそう遠くはないだろう。

オーディオ方面から見た変更点としては、Linuxカーネルがバージョン4.0系に更新されたことが大きい。なぜなら、標準構成のLinuxでDSD 11.2MHzネイティブ再生を行う場合はカーネル4.1.10以降が必要(このバージョンでカーネルとともに提供されるUSBドライバが改良された。ALSAとMPDの対応も必要となるためここでは説明しない)であり、後日アップデートは可能だとしてもライブラリや収録ソフトとの依存性の関係で、最初から4.0系カーネルのほうが好都合だからだ。

それに、現行版Volumioが公開された2015年2月以降、ALSAやMPDの開発も進んでいる。Volumio 2では、当然その成果を反映しているはずだ。

ともあれ、最新ベータ版(Beta 2)をRaspberry Pi 2にインストールし、どのような変更/改良が行われているか見てみよう。正式リリースまでには多数の変更があると予想されるため、あくまで現時点での情報と理解していただきたい。

この画面は……次のVolumioのWebUIか?

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