オーディオグレードのUSBハブとしても機能

iFI-Audioならではの独創的USBアイソレーター。「micro iUSB3.0」を検証する

土方久明
2016年02月20日
音質改善に有効な技術の数々。iFI-Audioならではの最先端対応

ポータブルDAC「micro iDSD」をはじめ、数々の独創的な製品を展開しているiFI-Audio。その製品群のなかでもエポックメイキングとされているのがUSBアイソレーター「iUSB Power」である。本機は、汎用チップでは対応できない192kHzクラスのハイサンプリングレートの伝送にも対応した数少ないUSBパワーサプライ/アイソレーターとして注目されていた。その後、11.2MHz DSDなどのより高いハイサンプリングレートの伝送や新規格USB3.0対応製品が登場するなか、時代に即したUSBアイソレーターとして飛躍的に進歩を遂げた「micro iUSB3.0」が発売された。

「micro iUSB3.0」

本機にはトータルUSBソリューション・プラスと呼ぶ独自技術が盛り込まれており、その核心となるのが、軍事用レーダー技術を応用した“アクティブ・ノイズ・キャンセレーション・プラス”だ。戦闘機のレーダー・キャンセル技術に着想を得たそうで、電源のノイズなど悪影響を及ぼす信号の逆位相信号を作り出し、能動的にノイズを相殺する。

特定の周波数で放射されたレーダー信号を受け、逆位相の信号を発生させることでレーダー信号をキャンセルさせる軍事分野技術を応用した、アクティブ・ノイズ・キャンセレーション・プラス技術を搭載。これにより、0.1μV(0.0000001V)という驚異的なノイズフロアを実現している

さらにUSBオーディオのデータストリームを再クロックおよび再生成し、ジッターを完全に除去する“REclock”や“REgenerate”、バランス伝送方式であるUSB信号がアンバランス化してしまう要因であるDCオフセットノイズを除去し、再バランス化させる“Rebalance”といった技術も搭載。加えて5Gbps伝送に対応するUSB3.0に準拠。また、USB規格を順守するかたちでノイズ流入源であるPCからのアース接続を断ち切ることができるIso Groundも装備。

USB信号はバランス伝送方式だが、電磁両立性の問題からバランスが崩れ、DCオフセットノイズが発生してしまう。これを除去し、“再バランス化"するREbalance技術によってクリーンな信号伝送を実現している

そして、最も大きな機能追加となるのがUSBハブ機能を持った2組のDual-Portsを設けていることだ。バスパワー出力のみのA端子と、バスパワー+オーディオ信号出力を行うA端子が1組となり、電源ラインと信号ラインの分離伝送を実現。この出力を2組設けることでオーディオグレードUSBハブとしても機能し、USB-DACと外付けUSB-HDDを同時に接続することも可能である。

Dual-Portsを2組搭載する本機は、USBハブとして活用できる。これは、容量の問題を解決すると共に音質の改善に効果を発揮する、今後長きにわたって使用できる有用な機能だ

音像の周囲のにじみ感がなくなり、キレ鮮やかなサウンドが得られる

実際にその効果を試すべく、ティアック「NT-503」とPCの間にデュアルヘッドUSBケーブルを介して本機を挿入。すると音像の周囲のにじみ感がまったくなくなり、ヴォーカルや楽器の純度感が向上。しかし音像の肉づき感や密度そのものは自然に描き、線が細くなるようなことはない。11.2MHz DSD音源のシームレスな空間をよりナチュラルに表現し、オーケストラもより立体的に浮かび上がる。Iso Groundを有効にすると、より音像が締まり、キレ鮮やかなサウンドに変化。S/Nも高く、音場もクリアかつ爽快だ。外づけHDDを接続しハブとして機能させた場合は、音像のフォーカス感も高まり楽器の余韻表現においても階調細やかに追随。より上品で高級感ある音色となった。

USB(Aタイプ)によるバスパワー出力とバスパワー出力+オーディオ信号出力で構成されたDual-Portsを2組搭載。これにより、USB-DACとHDDを同時に接続することが可能だ


入力端子にUSB(Bタイプ)を備え、5Gbpsの高速伝送に対応する。11.2MHzのDSD音源など膨大なサイズのデータを取り扱う現代のネットオーディオ環境において、この転送速度は極めて重要なポイントとなる

本機はUSBオーディオの音質向上に加え、USB3.0の高速転送能力により、大容量データの安定的なやりとりをPCの外でサポートし、より多くのストレージを確保するという命題も同時に叶えることができる。USBアイソレーターそのものが少ないなか、超高速オーディオ用ハブとしても機能する本製品は非常に希少な存在と言えるだろう。