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<山本敦のAV進化論 第85回>

新ロスレス技術『MQA』がいよいよ始動。非MQAハイレゾ音源と聴き比べ!

公開日 2016/02/17 10:16 山本 敦
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メリディアン・オーディオが開発したロスレス・オーディオの新コーディング技術「MQA(Master Quality Authenticated)」に対応する、同社製ヘッドホンアンプ「Explorer 2」と「Prime Headphone Amp」がソフトウェアを更新し、いよいよMQA音源の再生に対応した。ノルウェーの音楽配信サービス「2L」で公開されているMQAのデモ音源を聴き、その実力に迫ってみたい。

メリディアン・オーディオの「Prime Headphone Amp」でMQAサウンドの実力をチェックした

■ハイレゾ体験を変える「MQA」

MQAは2014年にメリディアン・オーディオが発表した音楽再生の新技術だ。「MQA=Master Quality Authenticated(マスター品質を証明する)」というその名が表す通り、スタジオで生まれた音楽を、オーディオ機器等で聴くリスナーへ「End to End」で届けるために開発された。メリディアン・オーディオの創設者の一人であるボブ・スチュアート氏の、神経科学と音響心理学に基づいた研究成果がベースとなっている。

MQAでは、独自のエンコーディング手法である「Encapsulation=カプセル化」により、音源のファイルサイズを小さくできることがひとつの特徴だ。昨今はハイレゾの普及が広がる一方、高音質なハイレゾ音源のデータ量も膨らんできて、パソコンの内蔵HDDなどストレージの容量を圧迫し、ハンドリングしづらくなっている。

MQAの場合、独自のエンコード処理で音楽ファイルのサイズをコンパクトに“折り畳む”ことによって小さくできる。例えば2Lが提供をはじめたオンライン経由での音楽ダウンロードであったり、TIDALが年内にローンチを表明しているMQAの技術をベースにしたハイレゾストリーミング音楽配信などのサービスと親和性が高いことも特長だ。

メリディアンとして初めての試みになる、コンパクトサイズのハイレゾ対応ヘッドホンアンプ「Prime Headphone Amp」

さらにMQAでは、人間が自然界の音を認識するメカニズムを解析し、数マイクロ秒単位の時間軸で音楽再生のタイミングを緻密にコントロールしながらファイルをエンコードする独自技術により、ひと味違う自然なリスニング感を実現している。数値上は同じスペックの音楽ファイルでも、MQA対応のものとMQA非対応のもので聴き比べたとき、違いが生まれる理由はここにある。

■MQA対応機器には何がある?

MQA音源の魅力を体験するためは、独自にエンコード処理された音楽ファイルと、MQA対応デコーダーを搭載するオーディオ機器が必要だ。

ファイルをエンコードするプロセスでは、マスター品質を証明するMQAのフラグ情報、ならびにデコード時に必要となる独自の処理プロセスがメタデータに記録される。MQAのエンコーディング処理は44.1kHzから768kHzまで全てのマスター音源に対して行うことができ、ALACやFLAC、WAVなど既存のデータコンテナに格納可能だ。

なおMQAの音楽ファイルをMQA非対応の機器で再生した場合は、通常のハイレゾ再生ができる互換性も確保されている。

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