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[連載]高橋敦のオーディオ絶対領域

【第141回】高橋敦が選ぶ「ポタフェス2015」“超”個人的ベスト5!

公開日 2015/12/22 18:32 高橋敦
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【第2位】イヤホンの音導は次世代へ!?

今回試聴できたユニバーサル型イヤホンで特に印象的だったのはJH Audio「SIREN SERIES」第二世代とCampfire Audio「JUPITER」だ。イベント会場での試聴レベルでの話ではあるが両者共にかなり好印象で、その好印象な両者に共通したのは音導周りに金属素材や新たな構造を用いていたこと。

まずはJH Audio「SIREN SERIES」第二世代。詳細は別途の記事を見ていただくとして概要としては、

 ●LAYLA II|12ドライバー、チタン筐体、ステンレスチューブ
 ●Roxanne II|12ドライバー、アルミ筐体、ステンレスチューブ
 ●Angie II|8ドライバー、アルミ筐体、ステンレスチューブ
 ●ROSIE|6ドライバー、アルミ筐体、ステンレスチューブ


既存3モデルの「II」にたぶんこのシリーズにおけるエントリークラスとして「ROSIE」が追加された形だ。「ROSIER」でないのは残念だが。

チタン好きな僕の心を撃ち抜くLAYLA II

ROSIEは現状のサンプル機だとカッパー仕上げ?ゴールド?な部分が少し派手に思える

シリーズ初代からの大きな変更点としては、

 ●フルメタルジャケットと呼ばれる金属筐体を採用
 ●Roxanneにもステンレス製チューブ型ウェイブガイドを搭載


というところがある。

LAYLA IIのノズル部分とそこに組み込まれたステンレスチューブ

ROSIEのノズル部分とそこに組み込まれたステンレスチューブ

またRoxanneのみチューニングを変更したとのことだ。

ただし他の継承モデルについての「チューニング変更なし」の意味合いが

 ・従来と同傾向の音質になるようにチューニングしている
 ・筐体変更などは音質に影響していないので補正も行っていない
 ・筐体変更などでの音質の変化は補正せずにそれは生かしている

等のどれに当たるのかは不明。代理店の方にもまだそういったところまでは伝わってきていないようなので、続報があれば教えていただけるように頼んでおいた。

今回は時間が限られていたこともあり、新規モデルな「ROSIE」を主に試聴。

シリーズにおいては最小構成、普通に低・中・高域に各2基というドライバー構成に加えての同社独自の位相調整技術「FreqPhase」の効果もあってか、すっきり感やバランスの良好さが印象的だ。シリーズ内でいうと、濃厚パワフルな「Roxanne」の側ではなく、モニター的な見通しやバランスを備える「LAYLA」「Angie」側に属するように思える(今回のIIではRoxanneも少し大人しめに調整されたようだが)。

なお僕が試聴した個体は全て例の「Variable bass output」が最小に設定してあった。なので「ROSIE」も迫力面についてはまだまだ余力を残しているはずだ。

一方のCampfire Audio「JUPITER」も金属筐体と金属音導を採用するBA型だが、見た目からして印象は全く異なる。

連邦系MSの肩や腰のパーツ的な造形。あえてネジを見せていくメカニカル感

実際にはアルミ切削だが、あえて鋳造的な粗い質感に仕上げられており、色合いもあって実に渋い存在感

こちらはドライバー構成も2ウェイ4ドライバーというあまりない構成だが、最大の特徴はそこではなく曰く「チューブレス」な設計。

カスタムイヤモニを源流とするBA型インイヤーモニターでは筐体内のドライバーの先端からノズル部の先端まで、音を樹脂系素材のチューブを通して導くことが一般的だ。しかし「樹脂の狭い管を通ることによる特に高域の減衰や変質」への対処が設計の難しさのひとつでもあったようだ。

そこでJH Audio「SIREN SERIES」のようにそのチューブを金属製にすることで減衰を軽減する、またはより好ましい方向への変質に置き換えるというやり方がある。カスタムだとFitEar「MH335DWSR」が高域ドライバーからのチューブにチタンを採用している。

「JUPITER」の場合はさらに、

 ・そもそもチューブを使わない「Resonator assembly」設計
 ・ノズル部のポートもアルミ削り出し

だ。

「Resonator assembly」の仕組みはよくわからないのだが、エレクトロニクスではなくアコースティクな領域の話ではあるように思える。「現代の技術によって達成可能な設計」とのことなので、精密な削り出しが可能な現在でこそ量産製造可能となった音響設計、なのかもしれない。

金属フェチにはたまらない削り出しっぷり

空気が通る穴はもちろんあるが、別パーツの管ではなくノズル部分自体にがそのように削り出されている

音は特に、シンバルの恐ろしいほどに研ぎ澄まされた薄刃の美しさが印象的だった。素晴らしく透明感のある鋭さであるのでもう逆に刺さらない感じだ。いやちゃんと刺さってはくるのだが不快な痛さがない。マンガやアニメの表現で「主人公格の必殺剣によって一瞬で切り刻まれているのだがその速すぎ鋭すぎの斬撃の前に痛みを感じる暇さえなくあれ?となってる雑魚」みたいなのがあるが、このイヤホンを聴いていたときの僕がその雑魚だった。

音導周りに金属を用いる、新たな設計を用いるというのは、イヤホン設計においては多くある要素の中の一つに過ぎない。しかしそれらを採用したモデルがよい音を叩き出す事例が今後も頻発するようであれば、従来以上に「無視できない一要素」にはなってくるかもしれない。

次ページそして1位は、カスタムでフラットなあいつ

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