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インタビュー

“日本人向けサウンド”の限定イヤホン

<ポタフェス>Westone幹部が語る、J-POPやアニソンから誕生した「Westone30」開発秘話

編集部:杉浦 みな子
2015年12月21日
12月19日・20日に開催されたe☆イヤホン主催のポータブルオーディオイベント「ポタフェス 2015」にて、テックウインドは同社が取り扱うWestone製品各種の試聴デモを実施した。カスタムIEMからユニバーサルモデルまで現行機種を全て取り揃えていたが、その中でも大きくフィーチャーされていたのが、日本限定仕様の新しいユニバーサルイヤホン「Westone30 Japan Limited(以下、Westone30)」だ(関連ニュース)。

Westone30

ESシリーズやSシリーズなど、カスタムIEM製品も一挙に用意

Westone30は、Westone社のサウンドエンジニア カール・カートライト氏が日本のユーザー向けにサウンドデザインを行ったというイヤホン。高/中/低域に1基ずつのBAドライバーを搭載する3ウェイ・3ドライバー構成を採用している。一般のリスナーにとっては今回のポタフェスが本機を試聴できる初の機会となり、ブースで多くの注目を集めていた。発売日は今月26日だが、イベント会場では先行販売も行われた。

さらに今回のイベントにあわせて、米Westone本社からはCEOら幹部3名が来日しており、ブース内で日本のユーザーと直接コミュニケーションを取るなど積極的な活動も行っていた。ブース内にいた同社CEO ジェイソン・ロックウッド氏、APACマネージャー ハンク・ネザートン氏らに、Westone30の開発や日本ユーザーの反応について話を伺うことができたので、内容をレポートしたい。

左から、ブレイク・ゲイザー氏、ジェイソン・ロックウッド氏、ハンク・ネザートン氏

■日本の販売店によるアイデアで誕生した、“日本人向けサウンド”の限定イヤホン

−− 新しいユバーサルイヤホン Westone30が発表され、今回のポタフェスでも多くの方が試聴されていましたね。“日本限定のサウンド”ということでかなり話題です。

ロックウッド氏: Westoneでは、製品開発の際に日本のユーザーさんの声を重要視していまして、今回の新モデルは日本のWestoneファンの皆さまのご愛顧に感謝してラインナップしました。

日本のユーザー向けにサウンドデザインを行ったという

−− 何がきっかけで“日本向け”のイヤホンを思いついたんですか?

ネザートン氏: 実は、とある日本の販売店さんの言葉がきっかけなんです。昨年10月にWestone本社に来ていただいたとき、「日本ではアニソンなどが人気で、こういった日本のポピュラーミュージックに合うイヤホンを作ってはどうか」とアイデアを頂きました。Westoneイヤホンの開発者であるエンジニアのカール・カートライトがその話をきいて、「面白そうだからやってみよう」ということになったんです。

Westone30開発時の第一弾試作機がこちら。イヤホン開発は、カートライト氏が全て手作りで行っているという

−− Westone30のプレスリリースによると、開発の際にカートライト氏は「アコースティック(音響)部分とクロスオーバー調整に特徴を持たせることに特に留意し、低域、中域、高域、すべてバランスよく、音源を出来る限り忠実に再現する音を完成させること」を目標にしたとのことでした。それを“日本向け”のサウンドとするのは、また別の工夫があったのかなと思いますが。

ネザートン氏: 彼はまず、アニソンやJ-POPなど、日本の幅広いポピュラーミュージックを聴いて、“日本のサウンド”を解釈するところからスタートしました。カートライト自身もミュージシャンなのですが、日本のアニソンを聴くのは今回が初めてで、「こんなカルチャーがあるんだ」と言っていましたね。Westone30のアイデアを下さった販売店の方が持参していたプレーヤーをお借りして、そこに入っている様々なJ-POPを聴かせてもらったりもしたんです。カートライトが幅広いJ-POPを聴いて出来上がったイヤホンです。

−− J-POPにより良く合う音を目指したというわけですね。

ネザートン氏: J-POPはジャンルが幅広くて面白いですよね。私個人も、Westoneとエンドーストメント契約をしているアーティストの音楽は聴くようにしているんですが、アメリカのポップソングと通じるスタンダードな楽曲もあれば、全く聴いたこともないような新しい音楽もあって、とてもエキサイティングだと思います。

−− ロックやアニソンも含む、多種多様なJ-POPに触れていただけるのは1人の日本人としてとても嬉しいです。Westone30に話を戻しますが、2008年に登場したイヤホン「Westone3」の継承を謳っている点も特徴的ですよね。

ネザートン氏: Westone3は、特に日本のユーザーに評判が良く、ファンが多いモデルでした。今回は日本限定モデルということで、このWestone3を使って下さった日本のファンの方々をイメージしたんです。

−− では具体的に、Westone3から引き継いだところ、反対に進化したところはどこでしょう?

ネザートン氏: 引き継いだ部分で一番わかりやすいのは、まず外観ですよね。Westone3と同じシェルを使っていて、デザインも似せています。また、3ウェイ・3ドライバーの内部構成も、Westone3から引き継ぎました。ただ、搭載するドライバー自体はWestone3とは別のものを使い、クロスオーバー調整も変えています。これによって、かつてのWestone3を彷彿とさせる中に“日本向け”の新しいサウンドを作り上げました。その他の進化点としては、MMCX端子によるリケーブルに対応させてより使いやすくしたところですね。

2008年に登場したWestone3

こちらがWestone30


westone3はリケーブルできない仕様だった

シェルのデザインは、最初はオレンジ地に黒いロゴという案(上)もあったらしい
−− リケーブルができるようになったのは大きいですよね。ちなみにWestone製品の中で、Westone30のような国別の限定イヤホンは他にあるのですか?

ロックウッド氏: いいえ、今回のWestone30が初めてです。今回は、ある意味テストケースですね。日本のユーザーのフィードバックは、私たちWestoneがイヤホンを開発する上でとても大きな判断基準になっていますので、今回は日頃の感謝と同時に新しい試みをさせていただいたという感じです。

−− なるほど。日本でのテストケースを元に、他の国での展開なども期待できそうですね。今回のポタフェスは、まさにWestone30に対する日本のファンの声が直に聞こえる初めてのイベントだったと思います。実際、イベントでの反応はいかがでしたか?

ロックウッド氏: ブースで直接感想を伺うことができたのですが、とても評判が良かったですよ。「Westone3への回帰」「Westone3の継承」など、実際にそういったキーワードが感じられるイヤホンだという声をいただきました。

−− ポタフェスを訪れた多くの日本のファンが、Westoneの新しい試みを楽しんだことと思います。

ロックウッド氏: 嬉しいです。ポタフェスは初めて参加しましたが、ファンタスティックなイベントですね。オーディオの全てが体験できます。

ネザートン氏: こういったイベントに来る度に、改めて日本ユーザーの情熱に驚かされますね。

−− 今回のポタフェスで得られた日本ユーザーのフィードバックも含めた今後の製品展開にも期待しています。ありがとうございました。


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