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「LHP-CHR192/AHR192」をテスト

【レビュー】iPhoneで手軽にハイレゾ! ロジテック「Lightningオーディオアダプター」を試す

公開日 2015/12/04 11:00 山本敦
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本体に内蔵する基板は4層構造。極小サイズの基板にデジタルインターフェースとアナログ回路が共存しているので、互いのノイズが影響を及ぼさないよう全面グラウンドを採用してデジタルノイズを抑えている。電源の低インピーダンス化も図ったことで、60mW(16Ω時)というサイズを超えたハイパワーを実現している。

高級感あふれる外観にも注目だ。ブロック材から機械切削加工で製造した強靱なアルミケースを採用。背中側にあたるボトム部分に4.5mmの厚みを持たせることで、剛性を高めながら不要共振を抑え、これを高音質化に結びつけている。

今回は付属するエレコムのハイレゾ対応イヤホンに加え、筆者がふだん使っているソニー「XBA-Z5」もリファレンスとして用意し、音質をチェックした。

iPhone 6sと接続したところ

マイケル・ジャクソンのアルバム「XSCAPE」から『Loving You』では、ボーカルの音像がシャープで肉付きもよい。声の存在感がとても身近に感じられ、音の芯から生命力があふれ出てくるようだ。特に高域がクリアで、声の伸びやかさにリミットがない。シンセサイザーのメロディは明るく煌びやか。分厚い低音が空気を震わせる、その力強さに思わずたじろいだ。

XBA-Z5につなぎ替えてみても、パワフルな音の印象は変わらなかった。力のないアンプでは本領を発揮させるのが難しいイヤホンだが、ロジテックのLightningオーディオアダプターを通すと、中低域の音にだぶつきや曇りがなくなり、リズムの正確さと抜き身のような切れ味が顔をのぞかせる。メロディラインの抑揚感が一段と華やぎ、柔らかさも加わる。ディティールにも自然に耳が付いていくようになった。

ビル・エヴァンスの「Waltz for Debby」から『Milestones』では、iPhoneにのイヤホン端子で聴いた音と比べると、ライブ録音の空気感までもがより鮮明に見えてくる。

ドラムスのハイハットやライドは細かな音の粒が立ち上がり、濃い霧のように広がる。対極には消え入り際の潔さもあり、音と音の合間に冷たい清流のような静けさが横たわる。ピアノのメロディラインが軽快に歌いはじめ、余韻にも心地良い粘り気みたいなものが感じられるようになり、気が付けばリスニングにのめり込んでいた。

これは、S/Nがぐんと高まって、ステージを少し高い位置から俯瞰しているような見晴らしの良さがあるからだろう。トリオの演奏をグイグイと背中から押してくるような、筋肉質なウッドベースのスピード感に、意識が引っ張られるからだろう。中高域とのセパレーションも一段と明瞭になり、プレーヤーたちが音に込めたエモーションが立ち上ってくる。

土岐麻子のアルバム「Bittersweet」のトラック『きみだった』では、Lightningオーディオアダプターを通すことでオンマイクのボーカルの距離感が仕掛け絵本のようにぐんと前にせり出してくる。アーティストが枕元でささやくような親密で生々しい距離感だ。思わず同じ曲を何度もリピート再生してしまう。

iPhoneのイヤホン端子から聴いた音と比べると、声のまわりに漂っていた付帯音がすっきりと消え、空気感が冬の朝空のようにキリッと引き締まる。バンドの音色に定位感が増し、エレピやアコースティックギターのメロディが「デジタルオーディオの音」から「楽器の音」に姿を変える。低域から中高域にかけて、音のつながりもますますスムーズになった。録音データから生の音楽が蘇る瞬間を捕まえた手応えがある。

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