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藤岡誠のオーディオワンショット<第9回>

MCカートリッジ出力のバランス伝送への誘い<その6>「藤岡誠推薦の組み合わせ例を紹介」

2015/10/09 藤岡 誠
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さて、最終回の今回はまだお薦めしていないジャンルの2機種を簡単に紹介し、別枠で実際の組合せ例を示すことにしよう。まだお薦めしていないジャンルとは「MCカートリッジ出力のバランス伝送・昇圧(増幅)対応のプリアンプ」である。

世界的にこの種のプリアンプは少ない。ここではその典型的機種として、昨年の12月に発売されたフェーズメーション「CA-1000」¥2,500,000(税別)とドイツのオクターブ「HP700」¥1,700,000(税別)を簡単に紹介しよう。

■MCカートリッジ出力のバランス伝送・昇圧対応のプリアンプ」

フェーズメーション「CA-1000」は、同社の真空管方式フォノEQアンプ「EA-1000」¥900,000(税別)を基本とし、出力電圧を昇圧・出力トランスで2Vまで高め、その上で特許取得の音量調整回路“ハイブリッドアッテネーター”と組合せた全真空管方式プリアンプだ。

フェーズメーション「CA-1000」

写真からも理解できるように3ピースで構成されている。パネルに音量調整用のノブ、各種切換えスイッチなどを持っているのがコントロール・電源部。そして2台のコンパクトで同一寸法の筺体がアンプ部である。つまり、左右chのアンプ部は完璧にモノブロック化されているわけだ。使用球は電源部の整流管に「5U4GB」、増幅段は「12AX7」の無帰還SRPP回路と、双3極管の「6922」(EA-1000は「12AU7」)を並列接続した出力バッファー段からカソードフォロアーで昇圧・出力トランスの一次側へ送り出している。入力はRCA端子とXLR端子によるフォノレベル×1、ラインレベル×2。出力端子もRCAとXLRを装備している。

機能はシンプルで音量調整の他、バランスコントロール、ゲイン切換え(±6dB)、ATTスイッチ(-20dB)、ミュートスイッチなどがある。これら機能の多くは付属リモコンで操作可能である。トーンコントロール機能はない。

オクターブ「HP-700」は、電源部独立筺体の2ピース構成。回路は真空管を基本としたハイブリッド構成。使用目的や好みに応じて別売の各種モジュールを本体へ装着し無駄なく機能をカスタマイズできるのが大きな特徴。ここで詳細は避けるが、入力モジュールは「IN3」¥94,000(税別)、もしくは「IN7」¥340,000(税別)。出力モジュールは「OUT3」¥129,000(税別)の装備をお薦めする。具体と詳細は“その5”で紹介した同社のフォノEQアンプ「PhonoModule」¥620,000(税別)や輸入元のフューレンコーディネートのHPなどを参照していただきたい。

オクターブ「HP-700」

また、プラスαとして日本のハイエンド・オーディオメーカーの一角を占めるテクニカルブレーンも、MCカートリッジ出力のバランス伝送・増幅対応プリアンプを開発中とのことだ。早ければ年内にその姿やサウンドを聴くことができるかも知れない。大いに期待しているところだ。

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