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[連載]高橋敦のオーディオ絶対領域

【第133回】ニューヨーク感ハンパない! Master & Dynamicのヘッドホンレビューを多摩方面からお届け

公開日 2015/09/11 14:29 高橋 敦
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▼MH30

まず音調の概要をざっと述べると、MH40より小型な分やはり、中低域の厚みや重みは控えられる。そしてそうなると相対的に高域の印象が強まり、キレや解像感といった要素はわかりやすくなる。音の立ち上がりも速さもMH40より感じやすい。小型機で無理に低音を稼ごうとするとキレとかは損なわれがちなので、そこで無理をしないこの音作りは好ましく思う。

MH30

ではもう少し詳しく具体的に見ていこう。上原ひろみ「ALIVE」のベースやドラムスは、MH40ほどの自然な太さや重みではなくなるが、それらの要素も十分程度には確保。そして特にベースでは、アタックや輪郭の明確さにおいてはMH40を上回る印象だ。このバンドの特徴的なところである、細かく複雑なアンサンブルの見えやすさ等に強みを発揮する。

相対性理論「たまたまニュータウン (2DK session)」冒頭では、バスドラムはタイトに、ハイハットはシャープに。MH40をSoloist SLと組み合わせた時の印象の方に近い。見晴らしが明るいので、小型密閉型ヘッドホンにしては空間性も良好。ちょっと明るすぎて湿度感や艶は感じ難くなるが。声は刺さる成分が少し強めになる。しかしここも、MH40がその点で優秀なのでそれと比べれば気になる程度の範疇。シャープな音を好む方ならむしろこっちがいい!となるかもしれない。

TECHNOBOYS P.G.「SHaVaDaVa in AMAZING♪(OUT OF LOGIC)」のベースラインは、MH40が「高音側のプルの弾けは普通程度だけれど低音側の沈み込みがしっかりしているので落差は十分」なのに対し、こちらは「低音側の沈み込みは特によくはないけれど高音側のプルの弾けっぷりがよいので落差は十分」だ。小型ポータブルヘッドホンとして無理をしていない、ならではの良さを感じられる音作りとして納得できる。

さてここまではHA-1での印象だが、こちらはポータブルを意識してAK120IIで再チェック。するとMH40でアンプ等を変えた場合ほどわかりやすい変化は起きなかった。もちろん変化がないわけではなく、もう少しさらにタイトでシャープにはなる(シャープさの質としてはAKの方が少し落ち着いたシャープさになってこっちの方がよいかも…とも思えた)。しかしMH40の場合ほどの変化の幅ではない。

本格据え置きアンプを使っても音の変化が大きくはないと言うと伸び代が少ない感じになるが、ポータブルプレイヤーでも実力の多くを発揮できると言えばポ、ータブルヘッドホンとして好ましい感じにもなる。本機はどう見ても後者に該当するので、ここはプラスに評価すべきポイントだろう。

■まとめ

ということで今回はMaster & Dynamic「MH40」「MH30」をピックアップしてみた。
実は、記事の流れとしては「NY発のデザイン性にも優れる新ブランド」といった感じの導入になったが、このメーカーをピックアップした理由は単純に(特にMH40の)音に感心したから。今回の改めてのチェックでも、「見た目がよくて音もよいヘッドホン」というよりは「音がよくて見た目もよいヘッドホン」というニュアンスの方でおすすめできることを確認できた。そういうヘッドホンをお探しの方はチェックしてみてほしい。

高橋敦 TAKAHASHI,Atsushi
趣味も仕事も文章作成。仕事としての文章作成はオーディオ関連が主。他の趣味は読書、音楽鑑賞、アニメ鑑賞、映画鑑賞、エレクトリック・ギターの演奏と整備、猫の溺愛など。趣味を仕事に生かし仕事を趣味に生かして日々活動中。


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