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【特別企画】SPとCDプレーヤー各3機種でスクランブルテスト

ヤマハ新プリメインアンプ「A-S1100」を人気CDプレーヤー&スピーカーと組み合わせテスト

公開日 2015/08/21 10:39 山之内 正
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▼エラック「BS263」×A-S1100

スピーカー編の最後にエラックの「BS263」を聴いた。最新世代のJET5トゥイーターを採用したブックシェルフ型で、260ラインを代表する人気モデルである。トゥイーターと音色やレスポンスを揃えるためにウーファーやネットワーク回路も見直しており、前世代の240ライン以上に完成度が高い。

BS263

A-S1100とBS263の組み合わせでまず感心したのは、静けさの質の高さである。音が出る前の静寂だけでなく、音が出たあともざわつきやモヤモヤ感がほとんど気にならない。その静けさを背景にしたサウンドは表情の陰影が深く、ダイナミックレンジが広がったように感じる。

エラック「BS263」と組み合わせて試聴しているところ

スピーカーが余分な音を出さないことも重要だが、本物の静けさを引き出すにはアンプの性能がものを言う。A-S1100は仕様上のS/Nに加え、音楽が鳴っているときの動的なS/Nが優れているのだろう。JETトゥイーターの反応の良さを活かすレスポンスの良いサウンドは、どのジャンルの音楽を聴いても説得力がある。

ムジカ・ヌーダのデュオは、ベースの抜けが良く、ヴォーカルの繊細な表情が自然に浮かび上がる。ベースの一番低い音域はもう少し厚みが欲しい気がするが、ピチカートのアタックがくっきり出るので、緩い低音にならない点は好印象。ジェニファー・ウォーンズの歌声もニュアンスが豊かで、しっとりとした感触が美しい。

『パンサー』のパーカッションの抜けの良さとギターの質感の高さは、今回聴いた組み合わせのなかでベストだ。オーケストラは大編成の近代作品よりも小規模な古典派との相性が良い。シュタインバッハが独奏を弾くモーツァルトのヴァイオリン協奏曲は、独奏の瑞々しい音色と柔らかい響きのオーケストラが鮮やかな対比を見せた。音場は前後左右に3次元に展開し、ソリストの姿がホログラムのように浮かび上がる。

次ページ後半はCDプレーヤー編。まずはデノン「DCD-1650RE」から

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