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海上忍のラズパイ・オーディオ通信(3)

“ラズパイ・オーディオ” の音質を高めよう! 「クロックダウン」で再生を追い込む

公開日 2015/07/31 11:48 海上忍
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■クロックダウンが意味すること

クロックダウンテストは、CPUとGPUのクロックを100MHz単位で下方修正する形式で行った。ただし、CPUクロックを400MHzにしたところでFLAC 192kHz/24bitを再生する際ノイズ(散発的に発生するプツッという音)が確認されたため、それ以下のクロックダウンは断念。結局、CPU/GPUの順で600MHz/200MHz、500MHz/100MHz、400MHz/100MHzの組みあわせでテストを進めた。

今回のテストに利用したUSB DAC「OPPO HA-2」。Raspberry Pi 2ではPCM音源のほかDSD 5.6MHz(DoP)の再生を確認している


vcgencmdコマンドを使い、作業時点での各種クロックを調べたところ。CPU(arm)が500MHz、GPU(core)が200MHzで稼働していることがわかる

クロックダウンの効果は、はっきり数値として現れる。FLAC 192kHz/24bit再生時の負荷を「top」コマンドで調べたところ、デフォルト設定のCPU 900MHz/GPU 250MHzにおけるMPD(ラズパイ・オーディオの主役ともいえる音楽再生システム)のCPU負荷率はせいぜい6%。一方、600MHz/100MHzは9%前後、500MHz/100MHzは12%前後、400MHz/100MHzでは17%前後となった。オーディオ関連以外のプロセスはそれほど多くないため、これでも余裕だ。

デフォルト設定(CPU 900MHz/GPU 250MHz)でFLAC 192kHz/24bitを再生しているときのtopコマンド。CPU負荷は6%前後で推移した


CPU 500MHz/GPU 100MHzでFLAC 192kHz/24bitを再生しているときのtopコマンド。数値だけで判断すると余裕はあるが……
CPUの温度も測定してみたところ、クロック数に比例する形で変化した。室温25℃でFLAC 192kHz/24bit再生時の温度を測定したところ、デフォルト設定のCPU 900MHz/GPU 250MHzでは48.7℃、600MHz/100MHzでは45.5℃、500MHz/100MHzでは44.4℃でほぼ一定した。周囲の回路への影響も考えると、CPU温度は低いほうが音質的に有利なはずで、一般的なPCでは調整困難なことを思えば、Raspberry Piならではのアドバンテージといえるかもしれない。

肝心の音質だが、かなり微妙なレンジでの改善と言わざるを得ない。わずかにS/Nの改善は認められるが、クロックダウンが過ぎるとノイズの発生につながるわけだから、やるべきこととしてはケースや電源の見直しのほうが先だろう。

ただ、不要なシステムプロセスを停止するなどソフトウェア面で追い込む余地はあるわけで、クロックダウンもその取り組みの一環として認識しておいたほうがいい。GUI全般や通知機能など多種多様なサービスがバックグラウンドで稼働し続け、不意にCPU負荷が上昇/下降するPCオーディオと比較すると、ラズパイ・オーディオが圧倒的に有利と考えられる点でもある。

CPU 500MHz/GPU 100MHzでFLAC 192kHz/24bitを再生しているとき、vcgencmdコマンドでSoCの温度を測定したところ。再生直後にこの温度までリニアに上昇し、その後安定した

それにしても、クロックダウンは設定の追い込みが難しい。たとえば、CPU 500MHz/GPU 100MHzに設定すると、FLACやWAVなどのPCM音源は支障なく再生できるのだが、DSD 5.6MHz(DoP)を再生すると時折プツッと聞こえるノイズが気になる。MPDのCPU負荷率は10%に満たない程度で、システム全体での処理能力には大幅な余裕があるはずなのに、なぜか。

ものは試しと、CPUは500MHzのままでGPUのクロックを200MHzに設定すると、今度はノイズを確認できない。それでは、とGPUのクロックを80MHzに設定してみたところ、ノイズは100MHzのときより格段に増え、まるで傷だらけのアナログ盤を聴いているかのよう。つまり、GPUのクロックはオーディオ再生に(特に悪い方向に)影響するのだ。

Raspberry Pi 2に搭載されているSoC「Broadcom BCM2836」の仕様なのか、はたまたオーディオ再生においてGPGPUの技術が用いられているのか(それはなさそうだが)……このような"謎解き"もラズパイ・オーディオの醍醐味と思うが、いかがだろう?

(海上忍)

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