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[連載]高橋敦のオーディオ絶対領域

【第129回】50万円DAP「AK380」を「どうせ買えないがゆえの冷静さ」で厳しくレビュー

公開日 2015/07/21 12:50 高橋 敦
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■その超弩級の筐体を確認

では実物を見ていこう。筐体のデザインは「AK240」の非対称多面体的なデザインを発展させた印象。サイズ感はAK240より一回り弱大きく感じる。筐体の素材は外宇宙から飛来した隕石から僅かに採取されたスペースレアメタルのメテオリックチタン…ではなくて、AK240と同じくジェラルミン。そのジェラルミンの表面仕上げカラーがメテオリックチタンだ。背面はカーボンファイバーのプレート。率直に言ってかっこいい。

写真では伝えにくい謎の立体造形はAKハイエンドのトレードマークになったと言えるだろう

ブラウンとグレーとブラックが混じったような深みのある色合い


背面から見ると平行四辺形感が強まる。バックプレートはカーボンファイバー製

もちろんAKシリーズのアイコンである竜頭型ボリュームダイヤルを採用

またこの筐体は、デスク等に置いたときに少しだが手前が低く奥が高くなるような角度を持たされている。MacBook Airのキーボードのように、置いたときの操作のしやすさや画面の見やすさを考慮してだろうか。「置いて使う」場面も少なからず想定しているのかもしれない。

あからさまにではないが手前側が少し低い

真横から見るとこんな角度

ディスプレイは4型とAK240より大きくなり、ディスプレイの方式としてもAK240はAMOLED…つまり有機ELだったのが、LCD・つまり普通の液晶ディスプレイに変わっている。個人的にはLCDの落ち着いた発色の方が好みなので嬉しいが、これは好み次第のところだろう。なお画面サイズを拡大しつつ解像度は480×800のままだが、絵や文字が荒くなったとは特には感じない。アートワーク表示などは単純に、大きくなった分だけより楽しめる印象だ。

AKシリーズハイエンド伝統のイタリアンレザーケースももちろん付属。AKシリーズはエッジの効いたデザインなので、そのシャープな持ち心地は好き嫌いが分かれるかもしれない。しかしこの本革ケースを装着した状態でなら多くの人が「持ち心地がよい」と感じるだろう。

ちなみに同時期発売のAK JrとオプションのPUレザーケースの場合は「元が薄くて軽いのでケースで多少大きくなっても気にならない」、AK380の場合は「元から大きくて重いのでケースで多少大きくなっても気にならない」といった感じだ。

今回のレザーはつるりとした艶やかさで「革ならではの輝き」のようなものがある。味わい深い経年変化を期待できそうだ

直線的でメカニカルな部分と革の素材感やステッチの手仕事感とのコントラスト


再生周りの操作ボタンとメタルタッチセンサー・ホームボタンは露出しておらず革ごと押し込むタイプ

背面のジャケット固定スクリュー部分のケース側が凹ませてあり、その段差をここで吸収してくれている

何かあるとすれば、左右非対称デザインなのでプレーヤーを左手で持つ人と右手で持つ人では使いやすさに差が生じやすいかもしれない。一般的なデザインのプレーヤーの場合は持ち手の左右で変わるのはボタンと指の位置関係のみだが、このデザインの場合は持ちやすさそのものから少し違ってくる。

僕は普段から左手持ち左手操作で、このモデルもその左手持ちの左手操作でしっくりくる。右手持ちにしてみた場合はどうなのかというと、普段から右手持ちをしないのでこのモデルでもどのモデルでも右手では操作しにくいという印象になってしまい、このデザインならではのこととしては判断できない…

まあAK240と同系統の形状なので、AK240で問題ない方ならこちらでも問題ないはずだ。それにしても(僕の場合)左手で持つ限りはこの非対称デザインは実は意外と手になじみ、その重量を苦になるものではなく心地よい手応えとしてさえ感じさせてくれる。

メタルタッチセンサー・ホームボタンは画面中央ではなく画面中央よりもやや右寄り、筐体の中央に合わせて配置

あと、室温30度という環境下だと発熱が少し気になった。コンデンサーやバッテリーのことを考えるとケースに閉じ込めるのがためらわれ…と思ったのだが、空調を入れて室温を27度あたりまで下げるとケースを装着した状態でもちょっと温まる程度に。夏の屋外でもない限り熱が気になることはなさそうだ。

で、音だが…残念ながらすばらしい音だ。

次ページ残念ながらすばらしい、超弩級の音!

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