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ドレー、ジェイ・Z、ヤング・・・キーマンは大物ミュージシャン!?

ビートルズやアップルなど様々な噂…海外ハイレゾ&ストリーミング最新事情を元洋楽ディレクターが分析

公開日 2015/03/31 11:58 本間孝男
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米国でも“ハイレゾ(HRA)”は公式の用語となった

日本に続いて米国でも「ハイレゾ」はおおやけに使われる一般用語となった。2014年6月、米国の業界団体はハイレゾ(High Resolution Audio/HRA)を定義、「CD以上の音質で録音されたマスターから作成されたロスレスオーディオ」をハイレゾと定めた。

米国でも日本と共通のハイレゾロゴが使用されることになった

規格化に参画した音楽産業の三大メジャー(ユニバーサル、ソニー、ワーナー)も、製作方法の違いによる4種類のハイレゾ用マスターを次のように表記すると発表した。その規定は以下のようなものだ。

1)「MQ-P」:PCMマスター48kHz/20bit以上(通常96〜192kHz/24bit)をソースとする。
2)「MQ-A」:アナログマスターをソースとする。
3)「MQ-C」:CDマスター(44.1kHz/16bit)をソースとする。
4)「MQ-D」:DSD/DSFマスター(通常2.8MHzまたは5.6MHz)をソースとする。


また、CES2015を前にしてCEA(米国家電協会)は日本のオーディオ協会と協力し、日本のハイレゾロゴ(2013年にソニーが制作したもの)を米国でも使用すると発表。1月のCESではロゴをCEAの会員が使用できるようになり、会場では早速このロゴが使われた。

ハイレゾは米国の一般層にどう捉えられたのか

米国の識者、マスコミが2015年のCESでハイレゾをどうとらえたかをWEBの記事で拾ってみた。目をひいたのが「ハイレゾ2つの致命的欠陥」というタイトルの記事で、ハイレゾの普及には時間がかかるし困難が伴うという辛口の論調だ。(『Forbes』2015年1月8日)。この記事の論旨をまとめると以下のようになる。

・ハイレゾには分かりやすい仕様やフォーマットが無い

ハイレゾはCD以上のクオリティというプリミティブな定義だけで、オフィシャルなハイレゾの規定がない。説明を受けても、「ビット深度が24bitでサンプリング周波数がCDより高く標準的には96kHz以上で192kHzまである」という一般ユーザーにはチンプンカンプンの言葉だらけ。

そしてCDやMP3からハイレゾに切り換えようというユーザーがまず直面するのがAIFF、FLAC、そしてDSDといった頭字語による略号。自分の装置(ソフト含む)にどれが適合するのかまず把握しないと購入(ダウンロード)することさえできない。CDやBDオーディオなどの物理メディアと違い、素人には極めて購入時の敷居が高い。

・統一イメージはロゴで作らざるを得ない

「ハイレゾは抽象的な概念なので統一イメージはロゴで作らざるを得ない」「4Kの様なハイレゾの具体的な基準(映像の解像度にあたるもの)やBlu-rayのような特定メディアが明確でない中での苦肉の策」などメディアの一部からは辛口の意見が出ていた。

・ハイレゾのストリーミング・サービスがない

PandoraやSpotifyなどのストリーミング・サービスのハイレゾ版がない。前述のように欧米の音楽市場ではストリーミングが主流になっているので、ハイレゾもストリーミング提供しなければ普及は難しいという見方だ。一方でハイレゾをストリーミングで配信しようとするとインフラの問題が大きくからみ、配信業者やレコードレーベル、オーディオメーカーが解決するレベルを超えてしまう。

しかし、この3つ目の「ハイレゾ・ストリーミング・サービス」がないという点については、CESでも注目を集めた「MQA」の登場で、状況が変化する可能性が出てきた。

次ページMQAはハイレゾ・ストリーミングを実現できるのか

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