HOME > レビュー > マランツ「SR7009」レビュー【音質編】同社Hi-Fi直系のサウンドを大橋伸太郎が聴く

ステレオ/サラウンドの各音質を検証

マランツ「SR7009」レビュー【音質編】同社Hi-Fi直系のサウンドを大橋伸太郎が聴く

公開日 2014/12/12 17:48 大橋伸太郎
  • Twitter
  • FaceBook
  • LINE
マランツの最新AVアンプ「SR7009」は、ドルビーアトモスへの柔軟な対応力と、アンプとしての高い再現性を兼ね備えたモデルだ。大橋伸太郎が前後編の2回にわたって、本機の魅力を分析。後編では、SR7009の“サラウンドアンプ”としての実力を、ステレオ/マルチチャンネルソースを視聴しながらレポートしていく。

「SR7009」¥230,000(税抜)

セパレートAVアンプの雄マランツによる一体型AVアンプの最上位機

マランツのAVアンプと聞くと、HDオーディオ登場期の「AV8003」や、昨年登場した「AV8801」といったセパレート型AVプリアンプの傑作が真っ先に想起される。AVプリアンプという分野を継続して手掛けるメーカーが他にないこともあるが、マランツの独壇場といっていい。高級機はセパレートで、というわけではないのだが、同社の一体型AVアンプは、AVプリの影に隠れてしまう印象があった。そうした印象をぬぐい去ってくれる新製品が「SR7009」である。

一体型フラグシップには、映像音響からステレオ再生までメーカーの音作りの方向性が集約して表現されている。デジタル処理からアナログ増幅段までイメージする音調へ各セクションのチューニングを最適化出来るからである。各社の製品を聞き比べる最大の興味がそれなのだが、SR7009はそうした興味と期待への回答をくれた。一言で言えば、音を慈しむ「美しい音」のアンプである。

SR7009の筐体内部

SR7009を最初に試聴したのが10月初め、その時は川崎のD&M本社マランツ試聴室で聴いた。今回は、ファイルウェブ試聴室に量産機を持ち込んでリスニングを行った。同社が取り扱うB&W以外のスピーカーと組み合わせた“他流試合”の今回、改めて強く印象づけられたことは、SR7009が純粋にマランツのHi-Fiオーディオであるということだ。SR7009の音は、明るく温かくヒューマンで躍動的である。

ステレオ再生では優れた過渡特性がいかんなく発揮

ステレオ再生から聴いてみよう。『ムター/ヴァイオリン名曲集』(SACDシングルレイヤー)は、試聴室の床が消えたようにヴァイオリンが朗々と等身大で鳴る。再生上の音響的制約から解き放たれた奔放さがある。今回使用したスピーカーシステムELAC「FS247 BE」を試聴環境の影響をものともさせずに鳴らす、アンプ側の強靭なコントロール力がある。

『カルメン幻想曲〜ヴァイオリン名曲集 ムター、レヴァイン&ウィーン・フィル』(SACDシングルレイヤー・限定盤)

SR7009はフルディスクリート電流帰還型増幅回路を全9チャンネルに用い、その中枢にマランツの看板技術であるHDAMの最新型を採用した。過渡特性に優れることがHDAMの特長で、ヴァイオリン再生に欠かせない音の動きの描写が俊敏である。弱音やデュナーミク(強弱表現)、細かな技巧の生むニュアンスを逃さない。だから、AVアンプでステレオの高音質ソースを再生した時のもの足りなさがない。音色が明るく音楽に華がある。

次ページデジタル入力によるステレオ再生の音質うを検証

1 2 3 次へ

この記事をシェアする

  • Twitter
  • FaceBook
  • LINE

トピック: