スピード感に優れキレの良いサウンド

マランツ「SR6008」レビュー − 上位機譲りの技術で高音質化

林正儀
2013年08月29日
■瞬発力とスピード感に優れキレの良い音に感嘆する

春モデルではスリムシリーズに注力していたマランツだが、いよいよ中堅の6000シリーズがブラッシュアップされる。SR6008の登場だ。従来機の6007では4Kのアップスケーリングやネットワーク機能が売りであったが、その後継となる本機はAVアンプとしての原点回帰を掲げた印象である。

マランツ「SR6008」

6000シリーズでは初となる電流帰還型プリアンプ、および高速アンプモジュールのHDAMを搭載。これは最高峰プリアンプAV8801のエッセンスを引き継ぐもので、192Hz/24bit対応のデジタルオーディオ回路を搭載する。新型オペアンプやカスタムチューンのコンデンサなども一新され、7chのフルディスクリートパワーアンプにも磨きがかかった。

パワーアンプはヒートシンクに一列に配置するインライン配置

高速アンプモジュールHDAMを搭載した

機能面でこだわったのが、セットアップアシスタントなどの、分かりやすいインターフェースだ。実際に使ってみても、入力機器の接続やスピーカーの設定、また敬遠されがちなネットワークの接続なども実に懇切丁寧で、これならビギナーでも迷わないはずだ。

「6000シリーズ最高の音質」を謳うのも、大袈裟でないだろう。筐体や実用出力などは同一だが、明らかに瞬発力やドライブパワーがワンランク上だ。どのソースもキレがよく、スピード感も十分。サラウンドの鮮度や精密さといった部分で進化を実感させる。


背面端子部。スピーカー端子は横一列に配置し、色分けも行われている
『ダークナイト』はLFEがずっしりと沈み、包囲が重厚だ。セリフも生の響きがあり、バットマンとベインの格闘シーンは臨場感たっぷりだ。『007スカイフォール』は、バイクチェイスの風のような疾走感を鮮明な移動表現で満喫できた。遠近感もリアルに描くので、セパレーションや分解能が高いことがうかがえる。また、ヘリのエンジン音には明確な高さが感じられ、波動のような爆破シーンでは衝撃エネルギーが楽しめる。

7.1で『レ・ミゼラブル』を視聴してみると、サイドから後方にかけてのつながりが一層綿密でスムーズ。かすかな微細音まで拾いあげ、雨の中で歌うサマンサ・バークスの熱唱に感動させられた。学生蜂起のシークエンスの高揚感も、力強くダイナミックで申し分がない。ハイファイを目指した、魅力ある中堅実力機だ。

(林正儀)

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