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技術的背景からそのサウンドを分析する

【レビュー】ラックスマンの最高峰SACDプレーヤー「D-08u」「D-06u」を角田郁雄が徹底試聴

公開日 2014/09/19 17:10 角田郁雄
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■鮮やかな倍音が空間を埋め尽くしていく

本機の音は、技術者の意図、そして投入された技術がストレートに反映されたものである。CD、SACD、ハイレゾ音源のどれを再生しても、楽器や声が高解像で表現され、リアリティーに富んだ立ち上がりを示すことが特徴である。具体的には、楽器や声のアタック感(音の立ち上がり)が俊敏で、格別に豊富で、鮮やかな倍音が空間を埋め尽くすことは一番の魅力である。広い空間性を再現しながらも、豊富な倍音を放つ音像は、音像自体を少し大きく表現し、壮大なトゥッティーから深みのある弱音まで、歪みなく、ワイドレンジに再生する。

D-08uは開放感に溢れた伸びやかな演奏を聴かせてくれた

後述するD-06uとの大きな違いで言えば、空間性と、高域の歪み感が皆無の開放感に溢れた伸びの良さを感じさることだ。これは32bitDSPにより、デジタル信号が384kHz/32bitにアップサンプリングされた効果とDACチップ、ODNFの威力だと思う。本機は、PCM再生では3種類のデジタルフィルター特性が選択でき、DSD再生では、2種類のアナログFIRフィルターが選択できる。好みによって、使い分けができるのである。

主な試聴ディスク【CD】Linda Ronstadt『Hasten Down The Wind』(左)、【SACD】パニアグワ(指揮)、アトリウム・ムジケー古楽合奏団(演奏)『パニアグワの芸術』、【SACD】飯森範親&東京交響楽団、山本真希『交響曲第3番 オルガン付き』(2モデル共通、ハイレゾ音源は後述)

D-08uは、ディスク・メディアとハイレゾ・メディアを等価値に捉えるべく磨き上げられた技術が、そのサウンドに反映されたラックスマン究極のプレーヤー(Ultimate Player)と言えるであろう。

■ラックスマンの技術を凝縮させた「D-06u」

続いて、D-06uを紹介しよう。デザインは、D-08uと同様に丁重な作り込みの良さを感じさせる。サイズを比較するなら、D-08uより高さが約20mm低く133mmとなっている。内部に搭載する技術は、D-08uを凝縮し、テイストの異なる音質を実現していることが特徴だ。

「D-06u」¥580,000

まず、同社のディスクドライブ「LxDTM」であるが、両サイドと底面は振動を排除するために、厚みのある強固なスチール板を使用したボックス構造で固定されている。D-08uとコンセプトは変わらない。

本機で興味深いことは、D-08uと同様にPCMとDSDのデジタル信号の流れが異なるものの、一部で別のデジタルデバイスを経由していることである。SACDからのDSD信号は、シーラス・ロジック社のCS2300(クロック生成とジッターを低減する素子)を経由し、USB入力されたDSDは、USBレシーバーDSP(TI社の「TMS320C6748」を使用。内部のPLL回路と非同期通信によりジッターを低減する素子)を経由して、本機で使用するDACチップ、バー・ブラウン社のPCM-1792Aに伝送され、D/A変換される。

一方でPCM信号は、各サンプリングレートの特性を最大限に再現するために、別ルートを辿る。まずCDだが、バー・ブラウン社の「PCM9211」(本機の同軸/光TOSのデジタル入出力を行うと同時にジッターを低減する素子)を通過した後に、D-08uと同様にデジタル回路のコアとも言えるTI社の32bitDSP「TAS3152」を使用したデジタルフィルターに接続する。デジタル信号は、最大384kHz/24bitにアップサンプリングされ、DACチップにデジタル信号を伝送する。またハイレゾPCM信号は前述のUSBレシーバー(TI社の「TMS320C6748」)を通過し、直接32bitDSPに送られ、同じくアップサンプリングされて、DACチップにデジタル信号が伝送される。このプロセスで、徹底したジッター対策が行われているのである。

D-06uもドライブメカには独自の「LxDTM」を搭載

D-06uに搭載されたバランスアンプ回路

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