一貫したブランド哲学の背景を探る

ウィーンアコースティクス本社を訪問 ー 25年ものあいだ“本物”であり続ける理由とは?

山之内 正

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2014年09月01日

さらに、基準パーツの組み合わせで特性チェックと試聴を繰り返して2番目のリファレンススピーカーを作り、最初の基準機に完全に合致する性能を確保する。そして、そのリファレンススピーカーを基準にして今度は実際の製品レベルで音を追い込み、同等な性能に追い込んでいくのである。

生産ライン用のリファレンススピーカーは工場内の所定の位置で常時スタンバイしているが、湿度や温度の変化による影響を避けるため、実際に比較を行う段階でリファレンスモデル、対象モデルという順で測定を行う。

日本でも発売を開始したインペリアルシリーズ「リスト」のネットワーク。長期間に及ぶリスニングテストによってパーツや基板構成を吟味している

本社に常設されているリファレンスモデル。これらのスピーカーを基準に最終的なクオリティチェックが行われる

ガンシュテラーが実際に再現してくれた測定の様子は興味深いものだった。現在生産中の製品に対応するリファレンススピーカー群は測定エリアのすぐ脇に用意してあり、作業の流れはとてもスムーズ。だが、周波数レスポンスやインピーダンス特性のチェックなど、実際の測定は入念に行われ、作業に一切の妥協はない。測定を終えたスピーカーは十分な訓練を重ねた3人のスタッフがヒアリングを行い、耳による最終的な品質検査を終えてから出荷の準備に入る。ちなみにこのプロセスで僅かでも誤差が見つかったスピーカーについては、ドライバーユニットの交換やネットワーク回路部品による微調整を経て性能を追い込み、再度検証を行う。

実際のクオリティチェックの工程を解説するピーター・ガンシュテラー氏。リファレンスモデルとの特性差を検出して詰めていく。最終的には実際に耳で聴き、感性的な部分も重要視している

エンクロージャーはイタリア製。家具専門メーカーに同社の意図を伝え完成させている。オーディオ専門のキャビネットメーカーよりも仕上げが美しい

パーツのレベルで十分な精度を確保することにとどまらず、組み上がったスピーカーの段階でも厳格な測定と試聴を行い、最終的な性能と音質を保っていくこと。それによって、ウィーンアコースティクスのスピーカーには別の意味で一貫性が生まれる。異なるモデル間で音の志向が揃っていることに触れたが、同じ製品のなかでも個体差がきわめて少なく、一定の基準を満たしたスピーカーだけがユーザーの手元に届けられる。当然のことと思うかもしれないが、量産レベルでここまで厳しい品質基準を満たしていくのは、実はかなりハードルが高いことなのだ。

写真左が日本も担当するインターナショナルセールスディレクターのKevin Wolff氏、右が国内セールスのマネージャーであるMario Hauseker 氏

ウィーンアコースティクスの写真。創立から携わっているコアメンバーとともに、少数精鋭のプロフェッショナルなメンバーで構成されている

同軸ユニットを追求し日本に導入された「リスト」

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