HOME > レビュー > 最新モデル「A-S2100」「CD-S2100」が継承する、ヤマハ歴代Hi-FiのDNA

山之内正が70〜80年代ヤマハHi-Fi製品を振り返りつつ語る

最新モデル「A-S2100」「CD-S2100」が継承する、ヤマハ歴代Hi-FiのDNA

2014/06/27 山之内 正
  • Twitter
  • FaceBook
  • LINE

■A-S2100は活発で力強いサウンドを引き出すプリメインアンプ

A-S2100は活発で力強いサウンドを引き出すプリメインアンプである。声や楽器の発音がクリアで、鮮明な音像が前に出てきて表情豊かに歌うイメージがあり、リズムのサポートも起伏に富んでいる。ベースは立ち上がりのスピードの速さとエネルギーの強さで量感を引き出し、音が出たあとでふくらむような緩慢な低音とは対照的なふるまいをする。A-S3000も低音の挙動はよく似ているが、音色は本機よりも落ち着いた感触があるので、再生音から受ける印象は微妙に異なる点が興味深い。

ピアノ協奏曲はオーケストラとピアノが同じ音域で重なっても両者を鮮明に鳴らし分け、モーツァルトの作品らしい澄んだ響きを引き出す良さがある。余韻の描写のきめが細かく、柔らかい質感を再現することも注目すべき点の一つで、全体の響きに適度な潤いを与えていることにも感心した。ピアノをはじめとするアコースティック楽器の響きから高い質感を引き出すのはヤマハのオーディオ機器に共通する美点の一つで、A-S2100もそれをしっかり受け継いでいるのである。

S2100シリーズはS2000の後継という位置付けだが、それと同時にフラグシップ機S3000シリーズの開発で得たノウハウを惜しむことなく投入した準フラグシップとしての資質もそなえている。しかも、たんにS3000をダウンサイジングするのではなく、S2100シリーズ固有の方向性を追求して音楽的な説得力を身に付けていることにも注目すべきだろう。S3000とS2100はヤマハのハイファイコンポーネントの次世代を担うラインナップとして、それぞれが独自の存在意義を持っているのだ。

(山之内 正)

前へ 1 2

この記事をシェアする

  • Twitter
  • FaceBook
  • LINE