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人気のヘッドホンアンプ4機種と組み合わせテスト

“Fidelio”最上位モデル「X1」に最適なヘッドホンアンプを野村ケンジが検証

公開日 2014/02/18 11:00 野村ケンジ
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組み合わせ<2>
TEAC「HA-501」 ¥110,000(税抜)

「HA-501」と「X1」

比較的コンパクトなボディながら、フルサイズのコンポーネントに勝るとも劣らない高い実力を持ち合わせていることで人気を博している、ティアックのReference 501シリーズ。中でもこの「HA-501」は、全てをヘッドホンアンプ駆動のために注力した単体コンポーネントで、A級動作、ディスクリート構造にようるデュアルモノーラルアンプを搭載。1400mW/ch(32Ω負荷時)という大出力を誇る、アナログ方式のヘッドホンアンプだ。

■芯のしっかりとしたメリハリの良さと上質な印象が魅力

「HA-501」はダンピングファクターセレクターが搭載されているが、「X1」と相性が良かったのは5段階中の下から2番目のミッドローあたりだ。ミッド、ハイへと上げていくことで音の勢いやキレは良くなるのだが、その代わりにやや荒れた雰囲気の音色になってしまうので、下から2番目あたりが無難だろう。

「HA-501」

背面端子部

さて、そのサウンドはというと、芯のしっかりした、メリハリの良さが特徴。付帯音がないというか、上手く整理されている。かつ歪み感もほとんど残らないため、音がとてもピュアに感じられる。上質な、上品なイメージといえばいいのだろう。ある意味で淡々と、フォーカス感の高い演奏を楽しませてくれる。このような音色傾向のため、ボーカルは熱気や勢いがやや抑えられ、丁寧な歌いまわしの、落ち着きのある歌声に聴こえる。音楽ジャンルとの相性で言えば、ハードロックやジャズなどよりも、小編成のクラシックなどを楽しむのに向いている組み合わせといえる。

組み合わせ<3>
FOSTEX「HP-A8」 ¥100,000(税抜)

「HP-A8」と「X1」

DSDファイル再生にいちはやく対応したUSB-DAC内蔵のヘッドホンアンプ。入力はUSBのほか光/同軸デジタル、ABS/EBUデジタル、アナログRCAなど多彩に用意される。SDカードによるファイル再生が行える点もユニークだ。今回は前述の通り、アナログ入力を用いて試聴を行った。

■高解像度かつ芳醇な“心地よい”サウンドが楽しめる

高解像度、音数も多く、それでいて正確な再生といったイメージのサウンド。「X1」との組み合わせだと付帯音がやや多めになってしまい、少しの雑味を感じるが、正確性という点では、リファレンスとしても活用できるレベルだ。中域のフォーカス感は高く、一方で低域は良い意味で大らかな再現となるため、クラムボン「U&I」を聴くと、とても芳醇で心地よいサウンドを堪能できる。

「HP-A8」

背面端子部

特にアコースティックな演奏の音源と相性がよく、ジャズについても、ベースやドラム、ピアノなどが活き活きとした演奏を聴かせてくれる。溝口肇のチェロもなかなか。パワー感はそこそこで、どちらかというと程よく力の抜けた演奏となるが、響きの美しさはしっかり再現できている。

「X1」との組み合わせでハードロックなどを聴くと、もの足りなさも感じるかもしれない。勢いの良さはあるものの、ドラムやベースのアタックにそれほど重みのない、軽快なサウンドにまとめ上げられている。人によっては“もっと勢いが欲しい”と思うかもしれないが、このあたりはあくまでも好みの範疇と言えるだろう。

次ページ次は「X1」とORB「JADE casa」を組み合わせて聴く

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