HOME > レビュー > デノン「DCD-SX1」連続レポート - 大橋伸太郎が“マイフェイバリットCD”をSX1で聴き尽くす

3名のオーディオ評論家がDCD-SX1のサウンドに迫る

デノン「DCD-SX1」連続レポート - 大橋伸太郎が“マイフェイバリットCD”をSX1で聴き尽くす

公開日 2013/12/04 10:00 大橋伸太郎
  • Twitter
  • FaceBook
  • LINE
■「Advanced AL32」が旧作のCDを鮮やかに蘇らせてくれる

加えてDCD-SX1には“「Advanced AL32 Processing」という強味がある。『太陽と戦慄』を最初にLPで聴いた時、バイオリンのデヴィッド・クロスとパーカッションのジェイミー・ミューアの音楽的役割がいま一つ分からなかった。ラウドな楽器ではないので、前面にあまり出ないからである。

しかし、リマスター盤をS/N、ダイナミックレンジに優れたDCD-SX1で聴くと、音色表現が生々しく、演奏に奥行きを生み出していることが伝わる。静と動、弱音と最強音、生音と電気的ディストーションの対比、という『太陽と戦慄』のコンセプトが鮮烈に出現する。過去のLPやCDでもそれは感受出来たのだが、DCD-SX1で聴いて得たものは次元が違う。『太陽と戦慄』の本当の凄さが、登場から40年を経てDCD-SX1での再生によって姿を現したといっていい。

今回の試聴のために多数のディスクを持参した大橋氏。DCD-SX1による試聴は予想以上の長時間にわたった

この後、RTF、ウェザーリポートなどフュージョンの名盤や、カルロス・クライバーの振ったベートーヴェンやシューベルトのシンフォニー、さらに1980年のウィーン国立歌劇場引越し公演に始まるオペラへの私的傾倒が産み落とした愛聴盤まで、とっかえひっかえDCD-SX1で聴いてしまった。そして、それぞれのディスクで感銘を新たにした。

■DCD-SX1で体験できた自身の音楽体験の過去・現在・未来への旅

最後に、最近聴く機会の多い最新CD愛聴盤をDCD-SX1で一通り聴いて締めくくりたい。最初は田部京子(pf)の『ブラームス後期ピアノ小品集』(SACD)。肉付きのいい実在感豊かな描写である。素晴らしいのは、主旋律の<歌>に隠れがちな左手のポリフォニックな旋律で暗い情感を湛え瑞々しく描写される。低域に下がっていっても常に明快さをなくさない。高域打鍵でデジタルフィルターの折り返しノイズが出る場合が多いが、DCD-SX1の場合最小に抑えられている。

次にエマール(pf)の弾くドビュッシーの前奏曲集。グランドピアノの実在感、ダイナミックレンジレンジと響きの豊麗さに息を呑む。ペダルを使っての持続音や響きが減衰していくアナログ的自然さに「Advanced AL32」の威力を発揮しエネルギー感の豊かさが出色だ。<グランドピアノ原寸大再生>へのパスポートといえよう。

Advanced AL32 Processingの効果はCD再生において随所に発揮されていた

極限まで追い込まれたS/Nとダイナミックレンジは、振動対策を徹底した新ドライブメカによるところも大きい

アーネムフィルハーモニーのショスタコーヴィチ交響曲第5番第4楽章は、強奏で破綻、歪がない。金管の咆哮も潰れず分解能を失わない。LR間の密度が濃密かつ音像が鮮明で、無音部分は音場の疎でなく無音として実在させることができる。クレシェンドは直線的に高まり、無限のダイナミックレンジという印象。限界を露呈せず床が消えるようだ。楽器定位と高低描写も揺るぎない。楽器に色彩感と質感も備わっている。

CDが誕生して今年で31年。デジタルメディアはその後もいくつも登場したが、MDを始め消えたものも多い。音楽を聴く最もメジャーで高品位なメディアには、今もCDが君臨している。私たちのCDライブラリーは自分の音楽体験の歴史そのものだ。DCD-SX1のサウンドはその音楽体験を鮮明に再現してくれるのはもちろん、新しい発見とともに更新してくれるのである。DCD-SX1であなたの音楽の歴史の過去・現在・未来へ旅立ってはいかがだろうか。

前へ 1 2 3

この記事をシェアする

  • Twitter
  • FaceBook
  • LINE