【特別企画】

野村ケンジが聴く新“Kシリーズ” ー 1+1が3にも5にもなった、素晴らしいオーディオコンポ

野村ケンジ
2013年11月28日
Kシリーズの新境地。ーー 試聴してすぐにそんなキャッチフレーズが脳裏に浮かんだのが、新しいケンウッドのKシリーズ「A-K905NT」&「LS-K901」だ。

「A-K905NT」はメインユニット、「LS-K901」はスピーカーと、それぞれが単体発売されることとなったKシリーズの新フラグシップだが、組み合わせて試聴すると、これがなかなかのもの。Kシリーズといえば、一体型コンポのマイナスイメージを刷新したランドマーク的な存在だけに、その新フラグシップときけば必然的に見る目(聴く耳!?)も厳しくなるものだが、そういった期待や不安をものともせず、こちらの想像のさらに上を行くサウンドクオリティと音楽性の豊かさを感じさせてくれたのだ。そのキーポイントとなっているのが、ケンウッドのサウンドポリシーとJVCのサウンドエンジニアリングの、真の融合だ。

“ハイレゾ対応”Kシリーズ(アンプ「A-K905NT」/スピーカー「LS-K901」)

ケンウッドとJVCがひとつの企業となってずいぶん久しいが、これまでの製品はどこか「会社は一緒だけど開発部署は別」のいうようなイメージが強かった。それはそれで悪いことではなく、筆者を含めた従来モデルのファンにとっても嬉しい話なのだが、せっかく机を並べているのだから、1+1=2ではなくそれ以上の相乗効果を期待したいところ。新しい「A-K905NT」&「LS-K901」は、ケンウッドとJVCのエンジニアリングがしっかりとタッグを組むことで、そういった期待に充分応えられる、いやその上をいく革新さが推し進められているのだ。


ケンウッドとJVCのエンジニアリングがタッグを組み
革新的サウンドを実現


そういった革新性は、まず、システムにも現れている。


A-K905NT

フロントパネルは、ヘアライン仕上げを施した5mm厚切削アルミ材を使用
メインユニットである「A-K905NT」は、音質向上のためにあえてCDメカを非搭載とした、ドライブレス構造を採用。メインの音源をDLNA1.5準拠のネットワークプレーヤー機能、またはUSB接続のiPhoneやUSBメモリとし、ウォルフソン製DAC「WM8718S」を搭載することで、DSDや、最高192kHz/24bitのハイレゾ音源にも対応。イマドキの音楽再生環境にベストなシステムとなっている。

多彩な端子を用意し、イマドキの音楽再生環境に対応可能なのもポイント

とはいえ、既存のプレーヤーが使えないというわけではなく、同軸/光デジタル入力やアナログ入力(2系統)も用意されているので、拡張性についての不満は全くない。また、CDプレーヤーがどうしても欲しい、という人にはその弟分「A-K805」という選択肢もある。しかしこちらはアンプや入出力などの基本システムは同じものの、ネットワーク機能は搭載されていない。

さて、「A-K905NT」最大のポイントであり、JVCとの融合を象徴するのが「K2テクノロジー」の搭載だ。JVCがビクタースタジオとの協力のもと、長年にわたって進化を続けてきたビット拡張&再生周波数拡張技術「K2テクノロジー」が、なんとKシリーズに初搭載されることとなったのである。

こちらは、デジタル音楽信号に対し、サウンドの特徴に合わせて最適なパラメーターを自動設定。デジタル変換(AD変換や圧縮など)の際に失われた音楽情報を再生成しマスター音源に近いハイクオリティサウンドを実現する、というものだが、実際のマスター音源を知るビクタースタジオならではの高いアドバンテージが定評ある技術だけに、JVCブランドだけでなくケンウッドブランドのKシリーズに搭載されることとなったのは、かなり画期的なプランニングと言える。

一方で、アンプまわりにもJVCからの技術投入がうかがい知れる。「A-K905NT」ではデジタルアンプながらも新たにPWM(パルス幅変調)方式のデジタルアンプを採用。LPF(ローパスフィルター)通過前のデジタル信号と、通過後のアナログ信号それぞれをフィードバックすることで、電圧変動等で生じる音質悪化の影響を抑制、大幅な歪みの低減と広帯域再生を実現しているという。

そして、この「A-K905NT」にベストマッチングな組み合わせとして開発されたのが「LS-K901」スピーカーだ。「A-K905NT」がハイレゾ対応のセンターユニットだけあって、「LS-K901」も100kHzまでの超高域が再生可能なアルミハードドームトゥイーターの搭載や、トゥイーターとウーファーを近接配置したうえそれぞれの音がリスナーへ同時に到達する「UD(Uniform Delay)レイアウト」を採用するなど、ハイレゾ音源にふさわしい様々な技術が盛り込まれている。

LS-K901


トゥイーターとウーファーを近接配置したうえそれぞれの音がリスナーへ同時に到達する「UD(Uniform Delay)レイアウト」を採用している

真鍮無垢材の大型ターミナルを採用

1+1が3にも5にもなった、素晴らしいオーディオコンポ
スピーカーの組み合わせを色々試してみるのもオススメ


Kシリーズの最新モデルにして、フラグシップたる「A-K905NT」&「LS-K901」の組み合わせだけあって、そのサウンドは一体型ミニコンポの範疇を遙かに超えるクオリティを持ち合わせている。

ピアノの音はとても伸びやかで美しいし、ホールの余韻も消える寸前までしっかりと感じ取られる。音のピュアさ、微細なニュアンスまでしっかり表現しきる音のきめ細やかさは、今までのKシリーズでは感じられなかったもの。このあたりは、JVCとのタッグによる賜物といえる。

そのいっぽうで、芯のしっかりした、押し出し感の強い低域を持ち合わせているのはさすがKシリーズ。おかげで、ハードロックなどはエッジの効いたベースラインや、存在感のある力強いギターサウンドを楽しめるのだが、幅広い音楽ジャンルを存分に楽しむことができる懐の深さも、ケンウッドとJVC、それぞれのアドバンテージを上手く盛り込むことができた結果だろう。そういった点で、1+1が3にも5にもなった、素晴らしい製品といえる。

最後に、好みの問題についてのアドバイスを。これまでのKシリーズのファンで、既に従来のモデルを所有している方もいらっしゃることだろう。従来のKシリーズ、特に「K-531」のようなキャラクターが好み、という人であれば、せっかくの単品販売なのでまずは手持ちのスピーカーに「A-K905NT」を組み合わせてみることをオススメする。ハイレゾ音源という新たなソースも楽しめるようになるほか、聴き慣れたスピーカーが別物のように感じられる、音質面での大きなステップアップにとても驚くはずだ。

そのあとに、しばらく間を空けてから「LS-K901」を導入すると、今度は両者のマッチングの良さを充分に感じ取れ、ああ、この組み合わせがベストだな、と思っていただけると思う。こういったマッチングの妙も、オーディオ趣味のひとつ。そんな楽しさも持ち合わせている「A-K905NT」や「LS-K901」を、大いに歓迎したい。



【DSD&ネットワーク対応アンプ A-K905NT/SPEC】
●実用最大出力:50W×2 ●インピーダンス:4〜16Ω ●サンプリング周波数/量子化bit数:192kHz/24bit ●対応フォーマット:WAV/FLAC/Apple Lossless/WMA/AAC/MP3/DSD ●入力端子:光デジタル音声×1、同軸デジタル音声×1、アナログLR×2、USB×2、LAN 他 ●消費電力:50W(待機時 0.5W) ●外形寸法:247W×115H×288Dmm ●質量:3kg

>>製品情報ページ:
http://www2.jvckenwood.com/products/home_audio/acoustic/a_k905/index.html

【スピーカー LS-K901/SPEC】
●型式:2ウェイ2スピーカー・バスレフ型 ●定格インピーダンス:4Ω ●最大入力:80W ●使用ユニット:12cmコーン型ウーファー、2.0cmドーム型トゥイーター ●クロスオーバー周波数:5.0kHz ●再生周波数帯域:40Hz〜100kHz ●出力音圧レベル:83dB/W/m ●外形寸法:約160W×271H×271Dmm(最大) ●質量:約4.2kg(1本)

>>製品情報ページ:
http://www2.jvckenwood.com/products/home_audio/acoustic/ls_k901/index.html



【執筆者紹介】
野村ケンジ Kenji NOMURA
ホームシアターやヘッドホン、音楽関連、カーAVなどの記事を中心に執筆活動を展開している。100インチスクリーン+TADスピーカーで6畳間極小ホームシアターを実践。さらに現在はステレオと7.1chの同居計画が進行中。好きなクルマはアルファ・ロメオなどのイタフラ系。