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折原一也が画質/音質/装着感を試す

【レビュー】ソニーの最新ヘッドマウント「HMZ-T3」を前モデルと比較テスト

公開日 2013/09/03 13:06 折原一也
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「スクリーン」は、標準の「ノーマル」に対してHMDで視聴する16:9のスクリーンの上下をわざと凹ませる形で湾曲させる、というもの。何故湾曲させるのかというと、映画館のスクリーンは画面中央部に向けてわずかに周り込むように湾曲しており、HMDでもそれをシミュレートするためだ。「シネマ1」は16:9向けに比較的大きく湾曲、「シネマ2」はシネスコ収録のBD向けに、よりゆるやかな湾曲をシミュレートする。この湾曲は1枚絵の映像処理ではなく左右の視差を踏まえて湾曲をシミュレートする。つまり、左右の目に別々の角度に湾曲した別の画を見るという意味で、3Dに近い処理で生み出される代物というわけだ。

実は、T3をテストした直後にいったん外出してシネコンで映画を鑑賞し、再び自宅に戻りT3を視聴するという行動をとったのだが、「シネマ1」のほうが、より「目の前に大画面スクリーンが浮かんでいる」と頭に信じ込ませる効果があるように感じた。テレビドラマやサッカー、アニメ、ニュースなど様々な映像を視聴していても違和感はなく、湾曲スクリーンでは精細感不足も感じにくかったため、テスト中は専ら「シネマ1」で視聴していた。

このほか、ゲーマー向けの機能も強力だ。遅延は1080p入力であれば1フレーム以下、「ゲーム1」から「ゲーム4」の設定に応じて暗部視認性を改善する。PS3を接続して『アンチャーテッド』をプレイしてみたところ、暗部を持ち上げ情報を見やすくする効果があり、同時に本体十字キーの上下左右が「ゲーム1」〜「ゲーム4」(それぞれ暗部の明るさ情報の違い)のショートカットになる。物陰に隠れた敵が見えやすくなるという仕様はある意味でチートなのだが、FPSユーザーには有効だろう。「スクリーンサイズ調整」(アンダースキャン)の設定で70〜90%まで画面を縮小でき画面全体を見渡す事も可能だ。

■音質も大幅に強化

今回のテストでは、音質面も従来機からの進化を大きく体感できたポイントだった。まず、スペック上の違いとしてHMZ-T3ではHDオーディオに対応。DTSとリニアPCMに対しても高域周波数の補完を行う「新ハーモニクスイコライザ」技術が有効に働くようになり、最大192kHzまでの補間が可能となっている。

今回、ワイヤレスモデルのHMZ-T3WにはMDR-XB90EX(約12,000円前後)相当のイヤホンが付属する。MDR-EX300(約6,000円)相当のイヤホンだった前モデルと比べると、さすがに普通のテレビ音声でも音の中域の厚みや明瞭感ですぐに違いが出るし、BD映画『007 スターフォール』でも台詞の明瞭感、爆音のリッチさに違いが現れた(※なお、ワイヤードのT3の付属イヤホンは前モデル同様にMDR-EX300相当になる)。

サイドの構造がスッキリしたことでイヤホンと干渉しにくくなっている

もちろん、音質の差は、付属イヤホンによるものだけではない。T3、T2ともにShure「SRH440」を接続して同一条件で比較してみても、全体の音のクリアさと中低域のパワーに差が現れている。

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