JVC「JY-HM70」レビュー − ハイCPが魅力の業務用ビデオカメラ

会田 肇
2013年08月28日
ガッシリとしたショルダー型のデザイン、本体横に並ぶマニュアル操作ボタン等々、その姿はまさに“業務用機"そのものだ。しかし、店頭での価格は驚くなかれ、家庭用ビデオカメラより少し高い17万円前後。撮影時重量が3.1kgにもなるだけに、さすがに“家庭用"として使うには少々辛いが、ブライダルなどの需要には相当魅力的な価格帯を実現したと言える。

どこから見ても“業務用機”ならではのスタイル。これで17万円とは俄には信じられない

光学系は撮像素子に家庭用でもよく使われている1/2.3型 1,276万画素の裏面照射CMOSセンサーを採用し、F1.2のJVC GTレンズ(F1.2-2.8)を組み合わせる。動画撮影時のズーム倍率は16倍(35mm換算29.5mm〜476mm/F1.2〜F2.8)となり、被写体のアップにも大きな力を発揮。しかも、高倍率時でも充分な明るさを確保しており、この辺りは明るさに限界がある家庭用とは一線を画する。

モニターは3型23万画素で、各種設定もこのモニターに表示されるメニューを介して行う。メニュー画面は家庭用で見慣れたもので、設定のしやすさも魅力。ただ、「60p」の設定が録画モードと別になっているのは煩わしい。また、本機にはEVFも備わる。0.24型26万ドットのスペック自体はそれほど高くないからフォーカス合わせにはイマイチ。しかし、大型のアイカップが付いているため、明るい屋外でも被写体の確認はしやすかった。また、グリップ上部にはズーム/録画ボタンが備えられ、3型モニターを併用することでローアングル撮影も容易に行えた。

モニターは3.0型と充分なサイズ。メニューは家庭用を踏襲したものですぐに使いこなせる

大型アイカップを備えたEVF。解像度はあまり高くないのでフォーカスのヤマは把握しにくい

ローアングル撮影時に威力を発揮するグリップ部のズーム/録画ボタン

記録は家庭用と同じAVCHDで、静止画もJPEGで行える。別売のSDメモリーカードに保存するが、2スロットとしたことで、1つのカード残量がなくなっても自動的にもう一方のシームレスに切り替える。さらに、バッテリーも同時に2つまで装着可能としたデュアルバッテリーマウントとしたため、イベントなどでの長時間撮影にもしっかり応えられる。この辺りは業務用途をしっかり意識した設計とも言っていいだろう。

データ記録はSDカードに行う。2スロット用意したことで長時間撮影にも対応できる

長時間撮影に対応できるようバッテリーは、デュアルマウントを可能にしている

本体左側面にはマニュアル撮影もしやすいシャッタースピードや露出などの操作ボタンを装備。露出/シャッター速度調整も容易で、操作そのものは使いやすい。音声収録に対しては本体にステレオマイクを装備しただけでなく、外部マイクが取り付けられるよう、入力端子やマイクホルダーを装備。独自の高音質化技術「K2テクノロジー」も搭載している。

シーソー式ズームキーは業務用機ならではのフィーリング。手前は静止画用シャッターボタン

付属フードは手動式のシャッター付きとし、汚れなどからレンズを守ることができる


多彩なマニュアル操作が可能になっているのも業務用機ならでは。動きもリニアだ

マイク入力端子はXLR方式ではなく一般的なプラグ方式だが、むしろ低コスト化に貢献する
撮影はビットレート24Mbpsとなる「UXP」モードを使って試した。全体にあっさりとした傾向にあり、自然な解像感で表現する。家庭用としては物足りなさを感じてしまう表現だが、業務用途を中心に考慮すれば好ましい画作りだ。色合いも控えめで長時間見ていても疲れを感じない。ただ、背景ボケは二線ボケが目立ち、木漏れ日をぼかすと風船のようなボケ形状が現れる。ブライダルでローソクをぼかすといったシーンは多用しない方がイイだろう。価格を考えればこの辺りが限界なのかもしれない。

解像度がさほど高くないが、自然な描写力でゆったりとした映像を見せる

広角端の画角は29.5mm相当とまずまず。風景撮影でも困ることはないスペックだ


光学16倍で月に迫ってみた。フルオートで印影もしっかりと捉えることができた

UXPモードの1080/60iで撮影。60pで撮ればもっとシャキッとしたキャプチャーができたはず


波間に浮かぶ光をボカして撮影。風船のようなボケがあまり美しくない。パープルフリンジも見られた

クローズアップした被写体の描写力は高いが、背景は二線ボケがうるさく感じられる


ノイズも少なめで自然な雰囲気で夜景を捉えることができた。解像度は若干甘くなる

とはいえ、撮影現場でこのスタイルは十分押しが利くし、撮影時の使いやすさも家庭用並み。業務用機ならではの操作環境に不慣れでもすぐに使えてしまうのがイイところ。業務用途で低コストな撮影を可能にする貴重な製品と言える。

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