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上位機の技術を盛り込みつつDSDネイティブ再生にも対応

【レビュー】デノンの新しいSACD中核機「DCD-1500RE」の実力を検証

公開日 2013/08/23 10:20 大橋伸太郎
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■ディスク再生ならではの実在感を表現できるプレーヤー

試聴は、まずは同時発表のPMA-1500REとの組み合わせで行った。アルド・チッコリーニの弾くドビュッシー(CD)では、ライブ収録の現場の空気感まで生々しく再現された。細かな情報の拾い出しに優れたプレーヤーである。PMA-1500REとの組み合わせでは明るく力強い音質が前面に展開されるが、陰影やデリケートなニュアンスは上位モデルに譲る部分も見られた。

本機が聴かせてくれるディスク再生ならではの実在感は、データ再生では味わえないものだ

一方で、同じドビュッシーの前奏曲集をエマールが弾いたディスク(CD)では、PMA-1500REとDCD-1500REの組み合わせにより、低域のパワーと鮮鋭感が、重厚な音の土台を荘厳に現出させる。やや硬質でスケール感ある切れ味は、グランドピアノのリアルな存在感を表現しており、この点で価格を大きく超えている。

試聴では同時発表のプリメインアンプ「PMA-1500RE」との組み合わた

次に、PMA-1500REからアキュフェーズのプリメインアンプ「E-560」にアンプを変えてみた。意外にもDCD-1500REの音の特徴が支配的で、鮮鋭感主体の明るく力のある再生である。エマールのドビュッシーはアキュフェーズらしい倍音豊かな堂々とした音場が生まれるが、第1曲のドミナントでは低域がやや膨らむ感じもあった。ハイエンド機と組み合わせても見劣りしないDCD-1500REの実力を確認する一方、一緒に音作りをしたPMA-1500REとの純正組み合わせの魅力も改めて実感した。

カサンドラ・ウィルソンのジャズ・ヴォーカル(CD)では、E-560とのマッチングが非常に良好だった。ベースの量感、肉声の質感も向上し、DCD-1500REのポテンシャルが窺える。高級なアンプをお持ちの方にとっても、本機は要マークのSACD/CDプレーヤーといえる。

USB-DAC入力については、ポール・マッカートニーの『RAM』(96kHz/24bit)、『ORION/堤 剛』(FLAC96kHz/24bit)などを再生。明るく量感のある切れ味豊かな再生だ。DCDネイティブ再生についても、DSDデータならではの空間再現や実在感を聴き取ることができた。

Mac Book Airと組み合わせてハイレゾ音源やDSD音源の試聴も行った


DSDネイティブ再生にも対応。5.6MHz再生時には本体ディスプレイには「DSD>2.8M」と表示される

■PCオーディオ全盛時代だからこそ注目すべきディスクプレーヤー

PCオーディオ全盛時代に、単体のSACD/CDプレーヤーの存在価値は問い直されてしかるべきである。DCD-1500REの重心の低い、剛直さときめ細かい解像感を兼ね備えた音質は、CDリッピングやハイレゾ音源では味わえないディスクならではの豊かな実体感を備えている。これは今だからこそ新鮮な体験だった。

その一方で、USB-DACとしてDSD 5.6MHzを含む現時点でのファイルフォーマットに全対応しているのだ。従来モデルのユーザーならずとも、ディスクプレーヤーの買い替えを検討しているオーディオファンやPC音楽ファイルを再生するDACの導入を検討中のオーディオファンにとっては、DCD-1500REは、ジャンルを越境して注目すべき新製品と言えるだろう。

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