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USB-DAC機能まで徹底レポート

【レビュー】“Astell&Kern”新ハイレゾDAP「AK120」の実力を全方位検証

公開日 2013/06/10 12:42 岩井喬
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AK100との聴き比べを実践

話がややそれてしまったが、ここからは実際にヘッドホンを繋いでAK120のサウンドを確かめていこう。まずはAK100との比較を含めるため、ヘッドホンには双方で“ロー出しハイ受け”の条件を満たすインピーダンス25Ωのデノン「AH-D5000」を接続してみた。

インピーダンス25Ωのデノン「AH-D5000」で試聴開始

AK100は「WM8740」の持つ品性の良い繊細で透明感あふれる音場再生能力を見せる一方、低域は控えめで、高域にかけての倍音表現は華やかさが勝る傾向にある。そのため192kHz/24bitのマスター音源を聴いていても、どこか脚色のある線の細い音像表現となり、今一歩という印象を持っていた。しかしAK120ではそうしたウィークポイントが払拭され、ほどよい音像の厚みと解像感、付帯感のない音場の清々しさが同時に味わえる。完全にニュートラルというわけではないが、極めてナチュラルで、弦楽器の倍音の澄んだ潤い感はより一層生々しくなった。

クラシック音源としてレヴァイン指揮/シカゴ交響楽団『惑星』〜木星(CDリッピング:44.1kHz/16bit・WAV)を聴いてみたが、管弦楽器の旋律をきめ細やかにトレースし、余韻の消え際までしっかりと音を捉えるS/Nの良さが際立つ。ティンパニーの皮のディティールも鮮明で、アタックの追随も素早い。ローエンドはリッチに響き奥行き良くオーケストラのハーモニーが広がる。

ジャズもののオスカー・ピーターソン・トリオ『プリーズ・リクエスト』〜ユー・ルック・グッド・トゥ・ミー(CDリッピング:44.1kHz/16bit・WAV)では、ピアノのタッチが高低良く伸びておりハーモニクスも安定している。余韻の澄んだ音色も素直な響きで耳当たり良い。ウッドベースの指の動きを鮮明に捉え、胴鳴りは制動を利かせ弾力良く描く。スネアの太さもちょうど良いバランスであり、全体的に音像の重厚感、低域のむっちりとしたリッチな響きを聴かせてくれる。この点は軽いタッチでまとめられたAK100と大きく違うポイントだ。

続いてはハードロックのデイヴ・メニケッティ『メニケッティ』〜メッシン・ウィズ・ミスター・ビッグ(CDリッピング:44.1kHz/16bit・WAV)を聴いてみる。AK100だと分厚いディストーションギターの低音部が甘く、エッジも軽くなってしまうが、AK120ではリズム隊もしっかり重心が落ちてグリップ良くビートを刻み、エレキもボディの高密度でピッキングの粒立ちもキレ良く描写。ボーカルの口元は滑らかに際立ち、厚み良い音像はどっしりと安定したたたずまいを見せる。ライドシンバルの響きは余韻を丁寧にまとめ、拡散してゆくリリースを自然に描写してくれた。

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