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[連載]高橋敦のオーディオ絶対領域

【第48回】輝け!“低音ホン”選手権 − 低音再生が充実したヘッドホン4機種を聴き比べ

公開日 2013/05/31 11:15 高橋敦
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デノン「AH-D400」:クラブ系っぽい密度感を強めに出して、濃厚な低音

さて、最後はデノンのAH-D400。「URBAN RAVER」シリーズのフラッグシップだ。直径50mmの大口径ドライバーを内蔵アンプで強力にドライブすることで迫力の重低音を実現。ポータブルヘッドホンアンプと大型ヘッドホンが合体しているのだ。もちろんアンプ部分はこれ専用にチューニングされているわけだから、より高い効果があるはずだ。

右耳のハウジングにコントロールホイールを搭載。ボリューム操作や曲の再生・停止、スキップができる。もちろんマイクも搭載。今回で最も大柄ながら耳をすっぽり覆う感じで装着感も良好

ケーブルは右側で着脱式。その奥にあるのでは電源スイッチ。電源オフでも通常のヘッドホンとしては機能する。充電は反対(左)ハウジングのUSB端子から行う

以下が傾向表だ。


ジェームス・ブレイクさん「To Care(Like You)」のあのベースは、特定の帯域をプッシュして厚みや太さを稼いでいる感じがなく、底の方まですっと綺麗に伸びて沈んでいる。その底の方まで響くドゥムンという感触もよく再現。音色の艶、音の伸びも良好。魅力的なベースだ。ボーカルのクリアさ、ハイハットシンバルの描き込みの精密感も悪くない。空間表現としてクラブ系っぽい密度感を強めに出して、濃厚だ。

ミシェル・ンデゲオチェロさん「Dead Nigga Blvd.(Pt. 1)」のベースは音に張りがあって音圧が強い!そしてこちらも艶やかで滑らか。実にスムーズな音色だ。ちょっと不思議な感じなのだが、滑らかでありつつも、ゴリッとした荒い硬さもある。ドンと勢いよく沈み込む深さと重みもあるし、これはかなりの好感触だ。

ベースの低音を豊かに出しつつも、ドラムスは妙に膨らませることなくちゃんとタイト。ギターのカッティングもパキッとした抜けとクリアさがあり、リズムが立っていて心地よい。

では基本三点セットの上原ひろみさん、相対性理論、宇多田ヒカルさんでその他のポイントをチェック。全体の印象として輪郭が少しソフトフォーカス気味で、またそれぞれの音像が大柄でリバーブ感(音の響きの成分)も豊かであることから、音場の余白もあまり残されない。ただそれらは一方的に弱点であるわけではなく、ゆったりとしたゴージャスな表現とも捉えられる。全体の肉感的な厚みに魅力を感じる方もいるだろう。

その肉感的な音場の中でボーカルは、なぜか少し硬質に抜けてクリアに届く。声や息継ぎのシャープな成分もほどよく生かしており、ボーカルの描写は良好だ。

“低音ホン”4モデルの傾向表を一気におさらい

というわけで一通りチェックを終えた。比較しやすいように全モデルの傾向表を並べてみよう。










もちろんこれは主観的な印象を表したものに過ぎないが、それにしても、同じ低音ホンに括ることのできる製品の中でもこれだけ印象が異なるということはおわかりいただけると思う。

そういうわけなので、「音楽の低音をもっと堪能したい→低音ホンだ!」という考えの流れのその先には、「自分はどんなタッチの低音が好きなんだろう?→だったらこの低音ホン!」というような考えも必要だ。

まずは「低音がほしい→低音ホン」ということで製品をおおよそ絞り込む。そうしたらあとは、自分で自分の好みをしっかり把握していれば、いまはその点についての評判をネット等でいくらでも調べることができる。レッツ間違いのない低音ホン選び!


高橋敦 TAKAHASHI,Atsushi
趣味も仕事も文章作成。仕事としての文章作成はオーディオ関連が主。他の趣味は読書、音楽鑑賞、アニメ鑑賞、映画鑑賞、エレクトリック・ギターの演奏と整備、猫の溺愛など。趣味を仕事に生かし仕事を趣味に生かして日々活動中。


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