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“極太サウンド”のSOULに迫る!CESで発表された最新モデルも紹介

米“SOUL”のヘッドホン/イヤホン、注目の現行7モデル一斉レビュー!

公開日 2013/02/12 11:04 記事構成/ファイル・ウェブ編集部
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■高橋敦による音質レビュー

“極太サウンド”が特徴的なSOULシリーズだが、上位モデルからイヤホンまで多彩なラインナップを揃える各モデルの音質にはどのような違いがあるのだろうか? 高橋敦がSOUL製品現行モデルを一挙に試聴してレビューする。



豊富なカラバリをラインナップするSLシリーズ

「SL300」

SL300・スタンダードカラーのブラック(左)とゴールド(右)

ウサイン・ボルトコラボレーションモデル SL300 JAM


セスク・ファブレガスとのコラボレーションモデル SL300CESC

BIGBANGとのコラボレーションモデル SL300BBP(左)とSL300BBO(右)

アップル製品とのマッチングを意識したカラバリ マットシルバーのSL300MS
SOULブランドのヘッドホンのハイエンドである本機は、ノイズキャンセリング機能を搭載するモデル。ノイズキャンセリング機能と音質の両立はなかなか難しいのだが、それを達成しているモデルだ。安室奈美恵のクラブ系サウンドの曲を聴き始めると、見通しと広がりの良いオープンな音場に感心させられた。おかげでシンバルワークなどもよく届いてきて細かなグルーヴが生きているし、ドラムスの太鼓の響きの成分も豊かに感じ取れる。

一方、サビの部分でギターなどが入って音場の厚みを増す場面では濃密さも表現し、そのコントラストも鮮やか。ボーカルのコーラスワークの折り重なり方の美しさや声の自然さは、後述するSL150と共通する持ち味だ。ベースや太鼓の低音はやはり肉厚でいて腰の強さもあり、ドンと安定している。その低音が主張しすぎて他の帯域の細かな音を邪魔することもなく、うまくまとめられている。

宇多田ヒカルのバラードでは、こちらも声の自然さが光る。手触りというか粒子感が細やか柔らかで、ほどよくソフトタッチの描写だ。オープンな音場のおかげで、ボーカルの立ち姿がよりクリアである点も好ましい。

上原ひろみのピアノトリオ作品で入念に聴き込むと、低音から高音まで全体のバランスの良さを確認できる。ベースやドラムスは太く重いのだが、その太さ重さが素直で自然であり、全体のバランスを崩さないことがポイントだ。

ハイエンド機としては珍しくカラーバリエーションが実に豊富であることも、本機の大きな特徴といえるだろう。直近にもApple製品と合いそうなマットシルバーが追加され、コラボモデルも含めて全7色となった。なお本機はファッション性も高く、イヤーカップ部の丸いリングが光り、暗闇でもその存在をアピールする。そのほか、機内用の変換アダプターが付属しているのも嬉しい仕様だ。


「SL150」

SL150のスタンダードカラーホワイト(左)とブラック(右)

SL150・ブルー

SL150のスペシャルデザインモデル クロムシルバー

この上の価格帯のSL300はノイズキャンセリングモデルなので、スタンダードモデルとしてはこれがブランドのトップエンド。その実力はさすがのもので、低音の充実と高音側の緻密な再現性を兼ね備える。

安室奈美恵のクラブ系の曲でまず感心させられたのは、コーラスワークが素晴らしく綺麗なこと。声の分離や重なり方が美しい。定位やエフェクトによる響きなどのミックスの意図がより確かに再現されていることで、それが実現されている。そしてそもそも声そのものがクリアで滑らかで、そして自然だ。音場感も良好。全ての音が鼓膜に直に注ぎ込まれるような至近距離感がありながら、不思議と窮屈さをあまり感じさせない。濃密なのだが音場の余白や広がりも確保されている。またもちろん低音側のベースやドラムスはこのブランドらしい太さや厚みを備えている。骨太ながらもゴリゴリと強引な感触は強すぎず、肉感も豊かな低音だ。

宇多田ヒカルのバラードでは、声の描写の素晴らしさがさらに発揮される。しっとりとした湿度感があり、ざらつきではない柔らかな手触りがある。彼女の声の豊かで柔らかな低音を存分に引き出してくれて大満足だ。

上原ひろみのピアノトリオ作品でのポイントは、ベースや太鼓の太さに負けることなく、シンバルが薄刃に描き出されてしっかりと抜けてくること。バランスとしては低音が強いが、しかし高音側の楽器も十分に主張してくれる。

カラーバリエーションは基本モデルのブラックの他に、新色としてグロッシーなブルーとホワイト&ブラックを用意している。また、限定モデルのクローム&ブラックも発売中だ。


「SL100」

SL100のスタンダードカラーであるレッド(左)とブルー(右)

SL100・ビビッドピンク

SL100・ゴールド&ホワイト


SL100・ブラック/オレンジ

SL100・ピンク/ホワイト
ヘッドホンとしては同ブランドのエントリーモデル。とは言っても2万円弱の価格帯であり、ユーザーの期待値に応えられるであろう実力を持っている。柔軟な厚みのある低音が持ち味だ。

安室奈美恵のクラブ系サウンドの曲では、バスドラムの音圧、濃厚さ、響きの豊かさで、曲の冒頭からいきなりインパクトが強い。シンセベースはほどよくもこっとした肉感的な厚みを持たされ、これも存在感が強い。低音の感触はゴツゴツとはしておらず前述のよう柔軟性があるが、しっかりとした腰の強さも確保している。音場の印象としては、ぱっと開けたオープンなタイプではなく、ぎゅっと密度感のある濃密な描写という傾向。クラブ系サウンドのヘヴィでダークな部分を良く引き出してくれる。ボーカルは厚みを持ちながらキレも良い。

一方、宇多田ヒカルのバラードでは、声のエッジを強く出さず適度にソフトタッチ。安室奈美恵の曲とのボーカルの感触の違いを強めに出してくれる。このあたりは表現の幅が広い。上原ひろみのピアノトリオ曲でも、ベースやドラムスなど低音の太さ重さ、音場の密度感といった要素を確認できる。

カラーバリエーションも豊富だ。基本モデルのカラーはレッドとブルー。他にホワイト&ゴールドがあり、新色としてグロッシーなオレンジ、ホワイト&ピンクも発売された。


「SL99」

SL99・ブラックモデル

SL99・ブラックとホワイトのバリエーションモデル

イヤホンの上位モデルであるこちらは、後述するエントリークラスのSL49と同様に低音を強力にプッシュした音作りだが、2モデルの感触は少し異なっている。

安室奈美恵のクラブ系サウンドの曲では、冒頭のバスドラムの音圧にインパクトがある。SL49は低音の響きがドゥンと大きく広がる印象だったが、こちらは音がドスッと直線的に鼓膜に飛び込んできて揺らしてくる印象だ。ダイレクト感が強い。シンセベースの太さもより引き締まった太さといった感じで、筋肉質のごつさが出ている。太さや重みはSL49と同じだが、本機の方が全体的にタイトな低音だ。そのためか音場の濃密さは少し緩和され、空間の余白もほどよく生かした音場表現になっていることもポイント。ボーカルのクリアさやラップスタイルの場面でのキレも、SL49よりさらに向上している。

宇多田ヒカルのバラードでは、前述のように低音が引き締まって太いために、声の輪郭がより明確。おかげで歌の細かな表情や表現がより生かされる。歌の低音を効かせる場面でのぐっとした迫力や深みも、良質な低音描写のおかげでよく再現されている。上原ひろみにピアノトリオ作品で細部を確認すると、シンバルの高音にも音色の厚みがあることが印象的。であるので薄刃の鋭さは出ないが、これはこれで充実感がある。

基本モデルのカラーはブラックとメタリックのツートーン。他にホワイトを基調としつつ左右のケーブルをそれぞれブラックとホワイトに色分けしたバリエーションモデルも用意されている。


「SL49」

SL49・ブラック

SL49・ピンク&ホワイト

SL49・レッド&ブラック

SL49・グリーン&ブラック

イヤホンのエントリーモデルであるが、ブランドカラーは明確に打ち出されており、「無難な入門モデル」という感じではない。ある意味ではユーザーを選び、それ故にユーザーに選ばれるであろう個性がある。

その個性とはやはりもちろん低音の表現だ。安室奈美恵のクラブ系の曲では、曲の冒頭のバスドラムが重くズンと沈み、そこから低音がドゥンと広がる。低音の感触を巧く強調しており、リズムがビッグに響く。シンセベースの音色も密で濃い。その濃密という印象は音色だけではなく音場全体にも共通で、それこそクラブのような密閉空間に大音量を詰め込んだかのような音場感を味わえる。しかもそういった音場の中でもボーカルはクリア。ラップスタイルで歌う場面でのそのキレも良好だ。

一方、宇多田ヒカルのバラードでは、彼女の声の低音の響きの豊かさを実によく引き出す。カチッとフォーカスしすぎずにほどよくソフトフォーカスで、声が柔らかに広がる様子も好感触だ。ボーカルを堪能したい方も納得できるだろう。

全体の印象を上原ひろみのピアノトリオ作品で改めてチェックすると、やはり重心は思い切って低音側に振られている。シンバルの細かなグルーヴよりも、ベースとドラムスの大きなグルーヴの方が主張することがポイントだ。

カラーバリエーションは通常モデルのブラックの他、ブラックをベースにグリーンあるいはレッドとのツートーンにしたモデル、ホワイトとピンクのツートーンのモデルと、幅広く用意されている。



SOULのイヤホン製品2シリーズ

「FLY」

FLY

イヤホンのトップエンドであるが、SL49/SL99のどちらかの強化版といった印象ではなく、チューニングの方向性からして異なる別枠モデルといった印象。低音のプッシュは強烈すぎず、より素直でスタンダードな高音質イヤホンと感じる。

例えば安室奈美恵のクラブ系サウンドの曲をSL49/SL99の後に続けて聴くと、最初の印象は少し地味だ。しかし聴き込んでいくとその低音から高音までのバランスの良さや、スペースを広く確保した空間性に感心させられる。ひとつひとつの音がスマートですっと気持ちよく抜け、音場の中にこもった響きを残さない。そのため全体の見通しがよく、いわゆる解像感も高い。それでいてシンセベースの太さなどは十分に確保しており、音色のくっきり感もある。

宇多田ヒカルのバラードでも、全体がすっきりするおかげで、声の質感や息づかいといった細かい描写が見えやすい。ボーカルの肉厚さはさほど強調はされなくなるが、自然な厚みはやはり確保している。

上原ひろみのピアノトリオ作品との相性は、今回聴いたイヤホンの中でトップだ。ドラムスの太鼓の太さやベースの重みなども適当であるし、シンバルのソフトタッチの演奏もその音色がちゃんと抜けて届いてくる。解像感やクリアさがありながらもそれでいて全体のなじみもよい、実に整った再生だ。

円と直線を組み合わせた独特のラインとそれを強調するクロームカラーもスマートな印象を強めてくれる。


「RUN FREE」

RUN FREE

こちらはコラボモデルであり機能性(Bluetoothワイヤレス)にも特徴があるモデルだが、音も他のモデルと一線を画している。実にクリアで抜けの良い中高音が特徴的だ。

安室奈美恵のクラブ系の曲を聴き始めてすぐに、そのぱっと晴れやかな抜けの良さに驚かされた。どの楽器の音色もスカッと気持ちよい抜けとキレがある。そうなると音場の印象はもちろん、SL49のような濃密系ではなく、どちらかと言えばSL99やFLYに近い、開放感のあるタイプだ。キレの良さが特に感じられるのはラップスタイルのボーカルとあとはギターのカッティング。ギターのカッティングとの相性の良さからするとレゲエを聴いても合いそうだ。

宇多田ヒカルの曲でも声の感触はキレがよく、シャープ。ゆったりとしたバラードではその線の細さや鋭さに少しのミスマッチを感じるが、このあたりの相性は曲調次第だろう。上原ひろみのピアノトリオ作品も、全体にスマートでシャープでピシッとしている。ドラムスの印象はバシン!というよりはスパン!で、太さや迫力よりもキレで勝負といった感じだ。

カラーバリエーションはブラック&ゴールドと、グリーン&イエローのラスタカラーが用意されている。本機は、Bluetoothコントローラーとイヤーフック部が着脱式であるため、通常のカナル型イヤホンとして使えることもポイントだ。

なお、SOULのヘッドホン現行製品は、いずれもアップル社製デバイスに対応したリモコンケーブルとリモコン機能無しのストレートケーブルが2本付属する。また、イヤホン現行製品のケーブルは、アップル社製デバイスに対応したリモコン付きケーブルを採用する。イヤーチップはS/M/Lの3タイプが付属する。


<レビュー執筆:高橋 敦>

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