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[連載]高橋敦のオーディオ絶対領域

【第17回】驚異のコスパ! NC機能も音質性能も備えるソニーのBluetoothイヤホン

公開日 2012/09/21 14:48 高橋敦
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オンにした瞬間に「静寂!」というほどの劇的さはないのだが、オンにするとすっと自然に静かになってくれる。違和感のない効き具合だ。

ただしパッシブな部分でのノイズキャンセリング性能、つまり遮音性は高くはない。そのため、アクティブノイズキャンセリングで相殺される低音以外の細かな騒音は、ちょっと目立つ。まあそうは言っても、低音側の騒音が目立たなくなるので相対的に高音側の騒音が少し目立つようになるというだけのことで、それほど気になるわけでもない。

パッシブな遮音性も高めたい場合には、ソニーがイヤホン上位モデルに付属させている「ノイズアイソレーションイヤーピース」に注目したい。単品販売もされており、メーカーが互換性を保証するものではないが、サイズ的には合うので本機にも着用できる。絶大な遮音性アップとまではいかないが、ちょっとした効果はある。

ソニー独自のノイズアイソレーションイヤーピース。各サイズごとに4個入りで実売1000円程度

構造はこんな感じ。シリコン性イヤーピースの内側に低反発素材を仕込んで耳の中への密着性を高めている

■ワイヤレス、ノイキャン…そして音質までちゃんと確保しているモデル

音質も最初に述べたように好感触。高音質というほどではないのだが、ワイヤレスでこの価格で、という厳しい条件の中、「普通に良い音」を確保していることは特筆に値する。基本的にはバランス良好。その上で低音を自然にほどよくプッシュして、ベースラインを少しだけ強調しているのがポイントだ。

相対性理論「シンクロニシティーン」のエレクトリックベースは前述のようにボリューム感を足しつつ、音色のゴリッとくる芯の強さを少し和らげて、柔軟性を増す。グルーブはタイトさを弱めて少しおおらかになるが、これはこれで楽しめる。

エレクトリックギターの音色から柔らかな艶を引き出してくれる点もポイント。シンバルも音色の荒さ、金属質のざらつきなどは強調せずに、傾向としてはソフトタッチだ。しかしそれでいて音が埋もれることはなく、解像感も確保して全体の印象もクリア。

ボーカルもソフトタッチで、耳に刺さる成分は弱められる。弱められるがシャープな印象もひとさじ残されており、彼女独特の声の抜けが生かされている。

AKB48「GIVE ME FIVE!」では、ベースのドライブ感が見事に引き出される。音色はやはりタイトではなくてファット。それでいて緩く広がることはなく、グルーブを牽引する力強さがある。最初に述べたように、低音のプッシュの具合が絶妙なのだ。ただギターは、この曲ではもっとジャキジャキに鋭い方がスピードや荒っぽさが出て好ましいかなと感じる。ホーンも同様に、もっと元気よく抜けてほしくはある。

しかしそういった「聴きやすい音」に魅力を感じる方もいるはずだ。実際に僕も、長時間の試聴でも聴き疲れないことには感心させられた。そういう狙いも持って作り込まれているのだろう。

それにしても本機のコストパフォーマンスは、改めて確認してもすごい。地雷を踏まずに最初にこういう製品から入れば、ワイヤレスやノイキャンへの印象は大きく異なり、その後の製品選びの幅も広がるはず。ワイヤレスとノイキャンに興味があるけれどまだ試していない方へ、これは要注目モデルです!


高橋敦 TAKAHASHI,Atsushi
埼玉県浦和市(現さいたま市)出身。東洋大学哲学科中退。大学中退後、パーソナルコンピュータ系の記事を中心にライターとしての活動を開始。現在はデジタルオーディオ及びビジュアル機器、Apple Macintosh、それらの周辺状況などに関する記事執筆を中心に活動する。また、ロック・ポップスを中心に、年代や国境を問わず様々な音楽を愛聴。 その興味は演奏や録音の技術などにまで及び、オーディオ評に独自の視点を与えている。


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