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ヤマハの最新調音パネル「ACP-2N」で調音を極める!

ヤマハ「ACP-2N」大解剖! 山之内正がその実力を徹底検証する

公開日 2012/08/24 12:02 レポート:山之内 正 / 記事構成:ファイル・ウェブ編集部
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さらに左右の壁側に1枚ずつ追加 − 計4枚を使うと音はどう変化するか?

3枚目・4枚目を追加した場所は、リスニング位置左右の壁寄りの位置だ。やはり床置きなので、パネル上部に耳の高さがくる関係になる。壁に掛ければ耳の高さとパネルの中心を揃えることができ、条件としてはその方が理想に近い。

計4枚で試聴を行う山之内氏

横にパネルを追加すると、中高域に適度な反射音が加わり、声やヴァイオリンの音色に艶と明るさが増す方向で響きが変化した。家具がたくさん並んでいる部屋では違う結果になるかもしれないが、筆者の試聴室は漆喰の壁面をふさがずに適度な反射を得ているので、極端な変化は起こらない。

ただし、対向する壁面との間で起こるフラッターが減り、音色に艶が乗る変化は明らかにACP-2Nを設置した効果である。また、パネルの枚数を2倍にすることで低音はよりすっきりした方向に変化する。

調音パネルは音響チューニングの手法として最も簡単なものだが、効果は確実で、しかも使い方の工夫次第できめ細かいチューニングができる良さもある。ヤマハの製品はこれまで対策が難しかった低音域にも確実な効果を発揮するので、その点でも大きなメリットがある。特に、自宅システムの再生音に慢性的な不満がある人にお薦めしたい。


山之内 正 YAMANOUCHI,Tadashi
神奈川県横浜市出身。東京都立大学理学部卒。在学時は原子物理学を専攻する。出版社勤務を経て、音楽の勉強のためドイツで1年間過ごす。帰国後より、デジタルAVやホームシアター分野の専門誌を中心に執筆。大学在学中よりコントラバス演奏を始め、東京フィルハーモニー交響楽団の吉川英幸氏に師事。現在もアマチュアオーケストラに所属し、定期演奏会も開催する。また年に数回、オペラ鑑賞のためドイツ、オーストリアへ渡航。趣味の枠を越えてクラシック音楽の知識も深く、その視点はオーディオ機器の評論にも反映されている。

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