クリプシュ「G-42」と「G-12」を試す

【連載レビュー第2回】「Galleryシリーズ」でテレビの音を“手軽に”強化する

岩井喬

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2012年02月27日



■「コストパフォーマンスが非常に高いスピーカー」


2枚目は劇場アニメ作品である『Fate』である。本作はセリフとSEとのダイナミックレンジが広く、ステレオ再生では声の明瞭度がもう少し欲しい局面もあるのだが、5.1ch再生とすることでそうした心配もなく楽しむことができる。

「G-42」はセンターchがダブルウーファー仕様となり、声の厚みも出しやすくなっているので、セリフの存在感やボディの太さもしっかり再現できるようだ。攻撃のSEも同様に太さが出てどっしりとした迫力ある響きとホーン・トゥイーターならではのアタック鋭い破裂音もストレートに届く。定位感もピンポイントであり、指向角設定は事前に細かく調整しておいた方が良いと実感する音の出方である。

試聴の様子

セリフは鮮度良くスマートに浮き上がり、クールな口元の輪郭が際立つ。リヴァーブなどのエフェクトも艶良く広がるのが明確に感じ取れた。BGMは低域の厚みがバランス良く、ハリ艶良いストリングスも明瞭度が高い。

最後に音楽ソースの『Chicago』であるが、5.1chサラウンドとなることで、シカゴの持ち味であるホーンセクションのサウンドがよりヌケ良く耳に届くようになる。まさにホーン・トゥイーターの真価が感じ取れるソースであるが、シカゴのBDタイトルは多くなく、本作はサウンドプロダクションも優秀なうえ、脱退してしまったビル・チャップリン(Key&Vo)のプレイワークも味わえる名盤である。

ドラムは奥に定位し、よりステージの状況に近い音像定位となる。むっちりとしたボディ感があるベースやギターはリアch側まで回り込むが、ブラスセクションを含め音数が多いソースであるのでさほど違和感は覚えない。ボーカルは肉付き良く、滑らかな質感で落ち着きがある。

ホーンセクションは鮮度良く、息継ぎの音まで感じ取れる明瞭度の高さを持つ。他の楽曲でも確認してみたが、シカゴの真骨頂である3人のリードボーカリストによるコーラスワークも、ホーン・トゥイーターの特性の良さが活きる透き通る音抜けの良さがあり、爽やかな音場感が得られる。音離れも良く、バラードの没入感は抜群に良い。

「Gallery」シリーズの2モデルを用いたサラウンド環境であるが、スピーカーそのもののコストパフォーマンスは非常に高いが、設置の追い込みやAVアンプのグレードを引き上げることでさらにそのポテンシャルを引き延ばすことができるように感じた。こうした実力あるサウンドをスマートな壁掛けでも味わえることは喜ばしく思う。国内を含め全米の映画館にも導入されているクリプシュスピーカーの実力を垣間見ることができた試聴であった。

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